本連載ではプロジェクト管理ツール「Backlog」を題材に、チームワークを円滑にするための機能やユースケースを紹介する。タスク管理機能を解説した第2回に続いて、第3回ではチームへの情報共有に必要な、ファイルやドキュメントを管理するための機能について解説する。
ファイルやドキュメント管理の重要性
読者の皆さんは、仕事中に必要なファイルがどこにあるか分からず、探し出すのに苦労された経験はないだろうか。あるいは、業務の手順がまとまっておらず、調べ物に多大な時間を費やした経験もあるかもしれない。このようなことが日常茶飯事だと、業務の生産性は大きく低下してしまう。円滑に業務を進めていくためには、業務に必要なファイルやドキュメントをすぐ取り出せるように管理しておかねばならない。身近に質問できる同僚がいないテレワーク下では、なおさらファイルやドキュメント管理の重要性は増す。
ファイル共有やドキュメント管理には、既にさまざまな優れたクラウドサービスが存在するが、Backlogも、プロジェクトごとにファイルを共有する機能と、「Wiki」によるドキュメント管理機能を用意している。Backlogでファイル共有やWikiを使うメリットは、タスク管理をしている場所のすぐ側で情報を管理できるので、業務に関連する情報を探したり、チームメンバーに共有したりするのが容易になることだ。
BacklogのWiki機能
Wikiとは、ウェブ上で複数のユーザーが共同でページの作成や編集をすることを可能にする仕組みだ。情報の素早いアップデートやチームでの共同編集に適しているので、多くのナレッジ管理ソフトウェアで利用されている仕組みでもある。Backlogにも、このWiki機能がプロジェクトごとに搭載されている。
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Wikiによるドキュメント作成には、「Markdown」記法という書き方を用いる。これはHTMLを簡略化したもので、文章の見出しや強調などの修飾、表の作成などを簡単なテキストで実現することができる。記法を覚える必要があるが、ワープロソフトよりも軽量で、かつ慣れれば見やすい文章を素早く作ることができる。
Wikiの用途としては、チームメンバーが頻繁に参照し、かつ更新が行われるドキュメントが適している。具体的には、業務の議事録やマニュアルなどが該当する。また本格的なプロジェクト管理にBacklogを使用する場合には、プロジェクトの規約・運用ルールをWikiに記載することが望ましい。その他、業務で得られたノウハウや注意点などをWikiにまとめておくのも効果的だ。
一般的なWikiソフトウェアと同様に、BacklogのWikiドキュメントも編集履歴を辿って、誰がどこを更新したか確認したり、過去のバージョンの文章をロールバックしたりすることが可能だ。不用意な改ざんの防止やミスの訂正という観点からも重要な機能だ。
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