以上が発表の概要だが、今回このソリューションを取り上げたのは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う働き方の変化もあり、企業にとって健康経営への取り組みがこれまで以上に重視されるようになってきたからだ。
アビームはDigital Well-Beingを開発した背景について、次のように述べている。
「健康経営は、経済産業省により『従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること』と定義されており、日本再興戦略、未来投資戦略に位置付けられた『国民の健康寿命の延伸』に関する取り組みの1つとされている。健康経営優良法人や健康経営銘柄の認定数は年々増加傾向にあり、今後も健康経営に取り組む企業が増加すると考えられる」
一方で、「健康経営は経営手法の1つにも関わらず、『具体的な取り組み方法がわからない』『効果が見えづらい』といった点が取り組みの妨げになっていることや、実際の企業の取組みは単発的な病気予防、健康増進施策の実施に留まっているといった課題がある」とも指摘している。
今後の展開としては、「社員のコンディションデータやパフォーマンスデータを営業業績と組み合わせた分析による生産性向上施策策定や、コンディションも含めた包括的な社員データを活用したピープルアナリティクスやタレントマネジメントの実現を目指して、営業支援システムや人事システムとの連携機能の追加を予定しており、健康経営の領域においてもよりデータドリブンな変革の推進を支援していきたい」という。
健康経営は今後、企業のさまざまなソリューションとも幅広く関わっていくようになるということだ。
最後に、筆者も一言述べておくと、最近流行の言葉でいえば、健康経営は「EX(Employee Experience)」、すなわち、従業員エクスペリエンスの非常に重要な要素になりつつある。かつてのように、定期的な健康診断を行っているだけではEXで優位性は発揮できない。ちなみに、エクスペリエンスは「体験」を意味するが、筆者は「感動的な体験」の意が込められていると解釈している。
そしてもう一言。EXは企業のデジタルトランスフォーメーション(DX:デジタル変革)において、「CX(Customer Experience)」、すなわち、顧客エクスペリエンスと両輪ともいえる「目的」となるものだと確信している。今回のテーマである健康経営については、ぜひ多くの企業にこうした観点からも積極的に取り組んでいただきたい。