海外コメンタリー

ブロックチェーンやIoT、AI活用でワクチンのサプライチェーン強化へ--IT企業の取り組み

Daphne Leprince-Ringuet (ZDNet UK) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2021-01-28 06:30

 Larry Breen氏がスーパーマーケットのサプライチェーンマネージャーとして仕事をしていた時、賞味期限が近づいた商品に対処する簡単なソリューションがあった。商品に黄色いステッカーを貼り、安い価格で販売するというものだ。これは、貧乏な学生顧客と店にとってウィンウィンの解決策だった。

 現在、Breen氏はアイルランドのソフトウェア企業NearFormで最高コマーシャル責任者(CCO)を務めており、新規プロジェクトの中であるアプリに取り組んでいる。そのアプリは、世界中から送られてくる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの在庫管理とリソース割り当て管理を支援するというものだ。こういった問題は、スーパーマーケットのサプライチェーンで生み出された不備を解決する黄色いステッカーと割り引きでは解決できない。

 NearFormは、アイルランドで期待以上の成功を収めたCOVID-19追跡アプリ「COVID Tracker Ireland」の開発に関わったことで最近注目を浴びた企業であり、同社のテクノロジーは現在、北アイルランドとスコットランド、ジャージー代官管轄区、ジブラルタル、米国の一部の州における接触追跡アプリとして展開されている。しかし同社のチームはここ数週間、向こう数カ月について考えを巡らせ始め、そこに大きく複雑な難題が持ち上がってくることに気付いた。COVID-19のワクチンの有効性が確認された後、世界各国はどのようにして大規模かつ迅速に患者へのワクチン接種を実施するのだろうか?

 過去数カ月間で生み出された多くの事例と同様に、テクノロジーが解決の鍵になりそうだ。Breen氏は米ZDNetに対して「われわれはCOVID-19への対応に向けて、デジタルという観点から非常に積極的に関与してきた」と述べ、「そして接触追跡アプリから得た教訓に基づき、次なる付加価値の提供について考え始めた」と続けた。

 Breen氏は過去20年にわたってサプライチェーン関連の仕事に従事してきたため、要求がいつ、どこで生み出されるのかを知るということが根本的な課題になると認識していた。しかしBreen氏によると、ヘルスケア分野において、特にワクチンの配布において、要求は「基本的なレベル」でしか理解されていないという。これはつまり、どのようなソフトウェア開発者チームにとっても、向上の余地があるということを意味している。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]