“データ格差”広がる--データドリブンな日本企業の7割、人材育成に投資継続 - (page 2)

阿久津良和

2021-01-21 06:30

 「データ駆動型」とも呼ばれるデータドリブンについてTableauは、データに価値を見出し、全社員がアクセスしたデータに基づいて意思決定で経営判断できる企業だと説明するが、日本のデータドリブン企業の73%は今後もスキルや人材の育成に投資を継続し、15%が投資額の削減や中止する意思を見せている。

 この結果を他国と比較するとAPJは82%、欧州が76%が投資を継続すると回答した。また、非データドリブンな日本企業が投資継続の意思を見せたのは50%にとどまり、35%の企業が投資継続に非積極的。業種によって異なるものの、コロナ禍によるビジネスダメージが大きく、一概に日本企業が非積極的とはいいがたい。

 だが、コロナ禍が一定の落ち着きを見せたときのビジネス計画について、データドリブン企業は28%、非ドリブン企業は19%が楽観視している。この結果を同じように他国と比較するとAPJと欧州はともに68%。

 この結果に対して佐藤氏は「(日本企業は)楽観視する割合が少なく、40%差の開きがある。特性なのか、環境なのか、データドリブン文化醸成の有無なのか、考察しなければならない部分」と指摘した。

 データドリブン企業にコロナ禍で学んだことを尋ねると、「よりよい品質のデータ(66%)」「データの透明性(65%)」「データスキルへの投資(64%)」「変化する需要に対応する俊敏性(63%)」が並んだ。一方で課題は「将来計画と課題(67%)」「製品・サービスの継続性(62%)」「スキル開発の評価と向上(62%)」などが足並みを揃えた。

 Tableauは2019年11月からデータ文化を醸成するフレームワーク(枠組み)「Tableau Blueprint」を通じて、日本企業におけるデータドリブンの定着に取り組んでいる。佐藤氏は「企業資産として重要なのは人材とデータ」と指摘し、冒頭で紹介した発言につなげた。

データドリブン文化の醸成と定着を生み出せるという「Tableau Blueprint」
データドリブン文化の醸成と定着を生み出せるという「Tableau Blueprint」

 その上で佐藤氏は以下のように述べて、リーダー自らデータドリブンにならなければデータドリブン文化の醸成に至らないと主張した。

 「カギを握るのはリーダー(経営者)。全社員がデータをコンプライアンスに準じて使える『信頼』(性の高い)プラットフォームが必要。次はスキルとマインドセット。現在はデータが(容易に)取得できるため、データを使うというマインドセットを全社員に持たせることで、人材採用や商品開発に対する考え方も変化する。皆が楽しめる環境も重要。大規模にTableauソリューションを使われている大企業のほぼすべてが、ユーザー会などを立ち上げている。コミュニティーを通じて文化醸成やスキル向上につなげるようなマインドセットが生まれていく。最後はコミットメント。役員自らデータを活用し、データ文化の醸成に成功している」

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