本記事は楽天証券が提供する「トウシル」の「TOP 3分でわかる!今日の投資戦略」からの転載です。
今日のポイント
- 脱炭素は可能なはず、地球はエネルギーであふれている
- 脱炭素を阻む3つの障害
- 高い流通コストと環境問題
- 脱炭素を進める前に天然ガス・LNGの効率利用を進める必要がある
- 原発には期待できない
これら5点について、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。
2021年は「脱炭素」が「DX(デジタルトランスフォーメーション)」と並び、株式市場の重要テーマになると考えている。「脱炭素」「水素エネルギー」に関連するレポートを不定期でお届けする。
今回は以下のレポートの続編だ。
2020年12月30日:2021年は水素エネルギー元年に。トヨタ「MIRAI」に期待
脱炭素は可能なはず、地球はエネルギーであふれている
世界各国が脱炭素(※注)の目標を掲げる時代となった。菅首相も「2050年までに脱炭素を実現」と高い目標を掲げた。化石燃料を大量に消費して生活している私たちがたったの30年でそのような高い目標を実現できるのだろうか?
筆者は、2050年までに世界全体で脱炭素を実現することも、人類が本気を出せば可能と考えている。なぜならば、地球は外も内も膨大な自然エネルギーで満ちあふれているからだ。そのほんの一部だけ使いこなせば、人類に必要なエネルギーなど簡単にまかなえる。
人類の持つ技術開発力をフル動員すれば、2050年までに自然エネルギー主体のエネルギー循環社会は実現可能と思う。
(1)太陽から降り注ぐエネルギーの活用
地球外から毎日膨大な太陽エネルギーが地球に降り注いでいる。そのエネルギーはほとんど地球にとどまらず、夜になると宇宙に放出される。そのほんの一部を捉えて電気など人類が使いやすいエネルギーに変換できれば、化石燃料を燃やす必要はなくなる。
ただし、太陽エネルギーの活用には1つ重大な問題がある。太陽エネルギーが広く薄く地球全体にばらまかれていることだ。エネルギーの総量は膨大でも、1カ所にまとまっていないので効率的に収集することができない。うまくエネルギーを集約する工夫が必要だ。
水力・風力などを使った発電はもとをただせば、ほとんど全て太陽由来のエネルギーだ。広く薄く分散した太陽由来のエネルギーが水や風の流れに変わり特定箇所に集中するのをうまく捉えて発電するものだ。
ただし近年、太陽由来のエネルギーを活用する発電のコスト低下が急速に進んでいる。水力発電はもともと低コストで古くから幅広く使われてきた。風力発電は洋上風力にすることで規模を拡大し、コストを下げている。
太陽光発電もメガソーラーのように規模を拡大することで、発電コストを低下させ補助金なしでも競争力のある「グリッドパリティー」を達成しつつある。太陽熱発電も有望だ。
これからも太陽由来のエネルギーを低コストで大量にうまく捉えていく方法がどんどん開発されていくと思う。