資産スキル継承難易度診断
資産現状分析結果に情報システム部門の管理者、担当者に対するアンケートを絡めて診断する。アンケートでは現行システムとその維持体制に関する課題を設問として準備する。
例えば以下のような課題テーマを挙げ、設問の結果と資産の現状と鑑みて課題解決の可能性を診断する。
1:属人化脱却
各ユーザーメンバーの担当資産ボリューム、複雑性や問題箇所、ドキュメントの有無、組織体系から属人化脱却の難易度を診断する。
2:ノウハウ蓄積
業務を切り口とした資料の有無、コメントの記載状況、ナレッジ共有のためのシステムの有無などからノウハウの蓄積度を診断する。
3:文書化
ドキュメントの状況、ドキュメント作成の課題などから文書化の必要度を診断する。
TOBEモデル診断(現状資産からあるべき姿を想定する)
資産現状分析結果と資産スキル難易度診断結果から、将来のアプリケーションの継続利用、モダナイゼーションを想定した課題を抽出する。
例えば以下のような診断を実施する。
1:継続利用に伴う課題
IBM iを使い続ける場合のリスク項目を抽出する。
2:リライトによるオープン化に伴う課題
アプリケーションをスクラッチで作り直す場合のリスク項目を抽出する。オープン化の環境がIBM iの稼働マシンであるサーバー「Power System」の外に出る場合は、それに伴うリスク項目も挙げる。
3:パッケージリプレースに伴う課題
統合基幹業務システム(ERP)などに移行する場合のリスク項目を抽出する。ERPの環境がIBM iの稼働マシンであるPower Systemの外に出る場合はそれに伴うリスク項目も挙げる。
アプリケーション解析ツールを利用することで資産の現状把握における広く深い分析が効率化され、将来に向けたリスクの把握と進むべき道の手がかりとなることが、ご理解いただけただろうか?
前回の記事で、デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けて、業務アプリケーションを解析し、以下の機能ごとに4象限で評価、今後のシステム再構築のプランニングを紹介した。
- 機能分割、刷新
- 機能追加
- 機能縮小、廃棄
- 現状維持
健康診断結果はこのようなプランニングの重要なインプットとなる。自社で実施が難しい場合、解析サービスを提供するベンダーに依頼するという手もある。
次回は、「オフコンのモダナイズはダイエットから始まる」と題し、健康診断の結果に基づき、資産の無駄を整理する具体的な内容を示したい。
(第3回は2月中旬にて掲載予定)
- 阿野 幸裕(あの ゆきひろ)
- ジーアールソリューションズ
- モダナイゼーション事業部長
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大学卒業後、トーメン情報システムズで、IBMメインフレーム、ミッドレンジコンピューター、UNIXなどのシステム開発を経験後、1995年よりSybaseやSASなどの外資系ソフトベンダーにてプリセールスエンジニアとして従事。
2020年4月から、その経験を生かし、ジーアールソリューションズに入社。以来、同社が独占販売権を持つカナダFresche solution社の製品を中核としたモダナイゼーション事業に参画している。