NTTデータとNTTデータ経営研究所は、Twitter JapanとNewsTVと共同で、人間の脳活動を推定する技術「NeuroAI」を活用し、Twitterに配信する動画広告の効果向上を目指した共同研究を2020年6~12月に実施した。
実際のシミュレーション内容を基に動画広告を制作し、Twitterで配信した結果、動画広告の再生率が23.6%向上し、動画広告のツイートに関するエンゲージメント(いいねやリツイートなど)が35.3%向上した。
研究の検証プロセスと概要(出典:NTTデータ、NTTデータ経営研究所)
この研究では、動画広告素材としてアプリゲームの動画広告264本(2020年1~6月配信分)を対象とし、再生率(3秒再生数/動画広告再生開始数)、エンゲージメント率、インストール率の3つの指標をターゲットに設定した。
検証プロセスは、(1)仮想脳モデルの構築、(2)シミュレーション、(3)制作、(4)出稿、(5)効果確認となっている。
仮想脳モデルの構築では、動画広告視聴時の脳活動情報をNeuroAIで予測し、この脳情報と広告効果データの関係を学習した仮想脳モデルを構築した。シミュレーションでは、仮想脳モデルを利用して、膨大なクリエイティブ候補から高い効果(ターゲット指標)が期待できるクリエイティブフラグメント(1秒単位)を抽出。制作では、抽出した「効果的なクリエイティブの仮説」を基に15秒程度の動画(音声無し)として人手で制作と編集を実施し、その動画を平均的な効果を持つ既存素材と合わせ、同条件でテスト配信した。
検証結果(出典:NTTデータ、NTTデータ経営研究所)
結果として再生率では、高いと予測された2つの動画広告案において、既存の動画広告と比較してそれぞれ23.6%、15.0%向上した。またエンゲージメント率では、高いと予測されたうちの1つの動画広告案が35.3%向上している。また、インストール率も高いと予測されたうちの1つの動画広告案で向上が見られた。
今回の研究では、NTTデータとNTTデータ経営研究所が企画/設計、NeuroAIによる広告効果予測モデル構築/シミュレーションの実施/検証用動画広告制作/出稿後の効果データ分析を担当した。Twitter Japanは過去素材の各種広告効果指標データ準備、検証用動画広告出稿、検証結果データ提供、NewsTVはシミュレーション結果に基づく新規動画広告制作を行った。
NTTデータとNTTデータ経営研究所では、動画広告とその効果を脳情報を介して定量化することで、目的とする指標を最適化するという広告制作プロセスの有効性が確認できたとしている。今後は、広告運用で求められる費用対効果指標なども対象にした研究開発を進めていく。また、こうしたプロセスを新たに取り入れ、効果の高い動画広告制作を目指す企業に向けたトライアルサービスの提供を2月に開始するという。