Okta Japanは1月29日、毎年最も使用された業務アプリケーションを調査する年次レポートの最新版「Business At Work 2021」の結果を発表した。今回で7回を数える同レポートの調査期間は2019年11月1日~2020年10月31日とコロナ禍にあり、在宅勤務やリモートワークなど社会情勢を反映した結果が各所で見受けられる。
Okta データ&インサイト担当ディレクター Lauren Anderson氏
米本社データ&インサイト担当ディレクター Lauren Anderson氏は「今回のレポートは3月以降にリモートワークへシフトしたことが反映した。企業も従業員を鼓舞するための努力や、どこからログインしてもいいようにセキュリティの強化に注力している。今回の調査で回答者の95%がスマートフォンを使用し、10%がデバイスロックを掛けていない」と説明した。
グローバルでZoomとDocuSignがランクアップ
Business At Work 2021は、2019年11月1日〜2020年10月31日の間、米国本社のOktaが持つ9400社以上の顧客企業と、6500以上のアプリケーション事前統合を実現するという「Okta Integration Network」に基づいたデータから成り立っている。
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2019年の状況を示した前回の「Business At Work 2020」では、Microsoft(Office) 365、Salesforce、Amazon Web Services(AWS)が、最も人気のあるアプリケーションのトップ3を占めたが、コロナ禍における2020年はAWSとSalesforceの順位が入れ替わった。一方でZoom(2ランクアップ、ウェブ会議)やDocuSign(3ランクアップ、電子署名)といったコラボレーションツールの順位も急上昇している。
これらはグローバルの結果であり、地域別で見ると北米はMicrosoft 365、Salesforce、AWS。欧州中東アフリカ(EMEA)とアジア太平洋(APAC)はMicrosoft 365、AWS、Atlassian Product Suite(開発支援ツール)と異なる結果が見えてきた。
APACに限るとMimecast(メールセキュリティ)、ServiceNow(ITサービス管理)、Xero(会計)、Zendesk(顧客支援)が急成長している。また、新たにセキュリティ意識向上トレーニングツールのKnowBe4がランクインした。
単独のアプリケーションではなく、基盤を構築して各機能を提供する“プラットフォーム”という切り口では、Microsoft 365、Salesforce、Google Workspace(旧G Suite)が3強。この結果は調査を開始した2015年から変化していないという。
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最も急成長したアプリケーションを前年同期比で見ると、Amazon Business(341%)、miro(301%、コラボレーション)、Figma(236%、デザイン)がトップ3ながらも、地域別で見ると、北米はAmazon Business(クライアント数は346%、ユニークユーザー数は2143%)、EMEAはZoom(同86%、同227%)、APACはAWS(同49%、同86%)という結果に。
興味深いのはSnowflake(データ分析基盤)以外のアプリケーションはすべて新たにランクインし、トップ10中4つがセキュリティソリューションである点だ。新規株式公開(IPO)/直接上場(DPO)の観点では、Sprout(セキュリティ)は50%、Bill.com(会計)が19%の成長率を見せている。
ベストオブブリード(マルチベンダー)型アプリケーションと、いまやOfficeスイートの枠にとどまらないMicrosoft 365の相関性を調査したところ、44%がSalesforceを、42%がZoomを併用していた。前回の調査結果と比較すると、特にZoomは10%の向上が確認できる。
その他のアプリケーションを見ると、36%がGoogle Workspaceを、32%がSlack(チャット)を、26%がBox(クラウドストレージ)を併用していた。Microsoft 365が提供する機能と類似する業務アプリケーションを併用するケースは増加傾向にあり、約10%が6つ以上のアプリケーションを組織に展開している(前回は約9%)。