調査

コロナ禍の影響で業務アプリの利用が大きく変動--Okta調査

渡邉利和

2021-02-01 10:00

 Okta Japanは1月29日、2020年の業務アプリの利用動向に関する年次調査「Business At Work 2021」の結果を発表した。企業向けアイデンティティー(ID)管理のサービスプロバイダーである米Oktaのサービス利用者がどのようなアプリケーションにアクセスしているかを分析したもので、7回目となる今回の調査期間は2019年11月1日から2020年10月31日までで、コロナ禍の時期に重なっている。

Oktaの年次調査「Business At Work 2021」の概要。今回の調査期間は2019年11月1日~2020年10月31日で、コロナ禍でテレワーク対応が急速に進展した期間を含んでいる
Oktaの年次調査「Business At Work 2021」の概要。今回の調査期間は2019年11月1日~2020年10月31日で、コロナ禍でテレワーク対応が急速に進展した期間を含んでいる

 説明を行ったOktaのデータ&インサイト担当ディレクターであるLauren Anderson氏は、「新型コロナウイルス感染症の影響で人々の働き方が変わったことがデータに反映されている」とした上で、データと分析から得られた洞察を紹介した。

 まず同氏は、2020年に最も人気のあった業務アプリ(顧客数ベース)を紹介した。トップは「Microsoft 365」で変動なしだが、2位はここ数年「Salesforce」だったが今回初めて「Amazon Web Services」(AWS)になったという。前回調査から順位を上げたのはAWS、「Zoom」「DucuSign」「GitHub」で、順位を下げたのはSalesforce「Box」「SAP Concur」「Atlassian」「Zendesk」だった。出張経費の精算に強いConcurがランクダウンしたのはコロナ禍における象徴的な動きといえそうだ。

2020年:最も人気のある業務アプリ(顧客数ベース)。Microsoft 365が2位に大差をつけてトップだが、複数のアプリケーションを含んでいる。AWS、Zoom、DocuSignなどテレワークの増加に関連したアプリや、デジタル変革(DX)の進展によると思われるGitHubなどがランクアップしている。逆に出張精算に強いConcurが2つ順位を下げているのはコロナ禍で人の移動が抑制された影響だろう
2020年:最も人気のある業務アプリ(顧客数ベース)。Microsoft 365が2位に大差をつけてトップだが、複数のアプリケーションを含んでいる。AWS、Zoom、DocuSignなどテレワークの増加に関連したアプリや、デジタル変革(DX)の進展によると思われるGitHubなどがランクアップしている。逆に出張精算に強いConcurが2つ順位を下げているのはコロナ禍で人の移動が抑制された影響だろう

 続いて、2020年に最も急成長した業務アプリ(前年比)では、「Amazon Business」がトップになった。同氏はこれについて「在宅勤務で必要な事務用品などを購入するニーズが伸びた」ことが要因ではないかとしている。また、このランキングで注目すべき点は個々のアプリのランキングではなく、トップ10のうち、2020年もトップ10圏内にいたアプリは「Snowflake」だけで、他の9アプリは同年に初めてトップ10入りしたものだという点だ。これは、コロナ禍によって企業が活用する業務用アプリケーションの種類がそれ以前とはガラッと切り替わった結果だと見てよいだろう。

2020年:最も急成長した業務アプリ(前年比)。セキュリティ関連のアプリケーションが多数ランクインしていることから、サイバー攻撃が猛威を振るった状況がみてとれる。また、SnowFlake以外の9本が新規にランクインしたということで、前年とはガラッと状況が変わったことの証拠ともなっている
2020年:最も急成長した業務アプリ(前年比)。セキュリティ関連のアプリケーションが多数ランクインしていることから、サイバー攻撃が猛威を振るった状況がみてとれる。また、SnowFlake以外の9本が新規にランクインしたということで、前年とはガラッと状況が変わったことの証拠ともなっている

 2020年にリモートワークで最も人気のあるアプリも、コロナ禍の影響がうかがえる結果となっている。さらに、2020年に最も人気のあるビデオ会議アプリ(顧客数)では、コロナ禍で一気に知名度を高めた感のあるZoomが圧倒的な成長を示しており、2位以下に大差をつけているものの、「Cisco Webex」や「RingCentral」も堅調に成長している。

2020年:リモートワークで最も人気のあるアプリ。定番のものが多いが、従業員エンゲージメントの「Culture Amp」に関してAnderson氏は「コロナ禍に直面して企業が従業員のことをよりいっそう考えるようになったことが影響したのでは」とした
2020年:リモートワークで最も人気のあるアプリ。定番のものが多いが、従業員エンゲージメントの「Culture Amp」に関してAnderson氏は「コロナ禍に直面して企業が従業員のことをよりいっそう考えるようになったことが影響したのでは」とした
2020年:最も人気のあるビデオ会議アプリ(顧客数ベース)。業務用という枠にとどまらず、広く一般的に活用されるようになったZoomが圧倒的な伸びを示しているが、WebexやRingCentralも堅調に伸びた。Microsoft Teamsが見当たらないのは、Teams単独での利用状況のデータが取れないためだという
2020年:最も人気のあるビデオ会議アプリ(顧客数ベース)。業務用という枠にとどまらず、広く一般的に活用されるようになったZoomが圧倒的な伸びを示しているが、WebexやRingCentralも堅調に伸びた。Microsoft Teamsが見当たらないのは、Teams単独での利用状況のデータが取れないためだという

 ここで「Microsoft Teams」がランクインしていないのは、Microsoftのログイン認証がアプリケーション単位で独立していないため、個々のアプリケーションごとにデータを取ることができないからだという。こうした仕様になっていることは、最も人気のある業務アプリのランキングでMicrosoft 365が2位に大差をつけてトップを維持している理由ともなっているとみてよいだろう。

Okta データ&インサイト担当ディレクターのLauren Anderson氏
Okta データ&インサイト担当ディレクターのLauren Anderson氏

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]