大塚商会、20年通期は減収減益--コロナ禍も「大戦略II」で打開へ

大河原克行

2021-02-02 06:00

 大塚商会は2月1日、2020年度通期(2020年1~12月)の連結業績を発表した。売上高は前年比5.7%減の8363億円、営業利益は9.5%減の563億円、経常利益は9.7%減の575億円、当期純利益は9.6%減の393億円となった。減収減益はリーマンショック後の2009年度以来、11年ぶりとなった。売上高は計画に対して101%の達成率だったが、利益については、全てが計画を割り込んでいる。

業績発表する大塚裕司社長
業績発表する大塚裕司社長

 業績を説明した代表取締役社長の大塚裕司氏は、「前年度は消費増税やWindows 7のサポート終了などの特需がありハードルが高かったのに加え、2020年度第2四半期(2020年4~6月)以降、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた。だが、前年度が特需だったことを考えると、過去5年間の成長路線を維持しており、巡航速度だと考えている。2020年11月に発表した修正値に対しては、最終利益では数千万円のところまで追い込んだが、あと一歩届かなかった。計画未達は心苦しい」などとした。

 セグメント別連結売上高は、システムインテグレーション(SI)事業が9.0%減の5266億円、サービス&サポート事業が0.6%増の3097億円だった。「サービス&サポート事業は第3四半期まで前年比マイナスだったが、第4四半期でプラスになった。保守が手堅く売上げを支えている。明るい材料である」とした。複写機の販売台数は3.5%減の3万6619台で、そのうちカラー複写機が2.6%減の3万5690台。サーバーは20.4%減の2万5507台、PCは14.1%減の153万7963台、タブレットを含むクライアント合計では10.5%減の163万8051台だった。また、テレワーク支援実績は約4万社、約43万人に達したという。

2020年度通期業績概況
2020年度通期業績概況

 また、単体業績は売上高が6.4%減の7504億円、営業利益が10.5%減の498億円、経常利益が9.7%減の520億円、当期純利益が9.1%減の363億円だった。単体でのSI関連商品の売上高は11.2%減の3931億円、受託ソフトなどが7.3%減の504億円。サプライが1.4%減の1541億円、保守などが2.7%増の1527億円だった。連結子会社では、ネットワールドが前年比3.1%増の1270億円と成長。「HCI(ハイパーコンバージドインフラ)やストレージ、セキュリティなどの強みを生かし、順調に進んでいる」とした。

 一方、重点戦略事業に位置付ける「たのめーる」の売上高は1.9%減の1634億円、オリジナル統合業務ソフト製品の「SMILE」が12.6%減の115億円、ナレッジマネジメントシステムの「ODS」が2.2%減の521億円、セキュリティビジネスの「OSM」は5.6%増の818億円だった。2020年12月末時点の「たのめーる」の口座数は、6.2%増の173万8840口座となった。「たのめーるは、通期で初の前年割れ。新型コロナウイルス感染症の影響を受け、第2四半期は11.0%減、第3四半期が5.4%減だった。だが、第4四半期は5.3%増で、成長路線に戻りつつある」「アスクルとコクヨが紙のカタログを廃止した。たのめーるだけが残している。購買担当者がページに付箋(ふせん)を貼って注文をするという使い方が定着している。紙のカタログにも価値がある。差別化要因として残したい」などと述べた。

 また、第4四半期(10~12月)に複写機の実績が戻ってきたことが明るい材料だという。第4四半期での成長は3年ぶりで、「電子化するためのデバイスとして利用されており、コピー機としての提案からの脱却が進んでいる。PCはGIGAスクールによる教育分野の需要が一気に伸びた。また、1企業当たりの商材数が4.29個となり着実に増加している。オフィスまるごとの提案が進んでいる」とした。GIGAスクールは、同四半期に約30万台の実績があったほか、2020年12月末時点で126億円の受注残があり、これが2021年度第1四半期(2021年1月~3月)の売上げに計上される予定だ。

 ウェブサービス(ASP)は、利用者が32万9000人増の295万6000人。たよれーる、Office 365で64万人、どこでもキャビネットは22万人だった。これらのサービスは、テレワークの浸透とともに伸長しているという。サプライと保守契約を含むストックビジネスの売上高は前年比0.8%増の2953億円で、構成比は39.4%となった。「ハードウェア販売台数が減少する中で、ストックビジネスの売上増は評価できる。収益基盤が強固になり、お客さまとの縁が切れないものになる。20年連続で増加し、多くのお客さまを継続的に支援することにつながり、大塚商会の将来の安心につながる」とした。

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