伊藤忠商事は、グループ会社で食品卸大手の日本アクセスと連携し、日本アクセスから食品メーカーに対する発注について人工知能(AI)を用いた需要予測と発注最適化のソリューション導入を開始した。
AIを活用したメーカー向け自動発注の仕組み
伊藤忠商事は、食品サプライチェーンのデジタルトランスフォーメーション(DX)による最適化を重要施策と位置付け、ブレインパッドや伊藤忠テクノソリューションズと連携し、2020年から日本アクセスと一部の物流拠点における小売店の販売データなどを活用した需要予測と発注自動化の実証実験を行ってきた。
実証では、小売の業務データ(在庫・売上・発注)と卸の業務データ(在庫・入出荷・商品ごとの発注ロット)に加え、天候データやカレンダー情報を入力値として機械学習モデルを構築した。また、メーカーが要求する発注ロット単位での推奨発注値を算出し、既存の発注システムにデータ転送する仕組みも構築している。
その結果、一定の在庫削減効果と発注業務の効率化が確認されたため、今回対象となる物流拠点を全国規模へ拡大する方針を決定した。まずは、一部顧客向けの飲料や酒、菓子など常温商品(約1000商品程度)から開始し、順次対象を拡大していく。今後は対象とする顧客やカテゴリーを拡大するほか、商品・原材料調達から小売店舗向けの物流に至る食品サプライチェーン全体の最適化も視野に入れ検討を進めていく。
将来的には、食品卸向けのみならず、取引先メーカーの工場稼働・物流倉庫の効率化や小売におけるフードロス、機会ロスの削減に寄与するサービスの提供などを目指す。