アドビは2月4日、記者会見を開催。2020年7月に発表したマーケティングクラウド「Adobe Experience Platform」の機能更新を解説した。
昨年12月にリリースしたチャネルごとにコンテンツを設定し、一貫したパーソナライゼーションを実現できるという機能「Offer Decisioning」と、2021年1月末にリリースした「Adobe Experience Platform Edge Network」に格納したデータを集約し、アドビ以外のシステムやクラウドにデータ連携を実現する「Launch Server Side」を披露した。
アドビ ソリューションコンサルティング本部 マネジャー 兼 プロダクト エバンジェリスト 安西敬介氏
英コンサルタント企業のEconsultancyが提唱する「Personalization 2.0」について、アドビ ソリューションコンサルティング本部マネジャー兼プロダクトエバンジェリスト 安西敬介氏は「マーケターの指針になる」と述べつつ、Experience Platformの利用を推奨した。
属性ではなく「個人の需要や要望」が必要
消費者一人ひとりにあわせた商品やサービスを提供する“パーソナライズ”には小売業などの事業者から期待が持たれている。だが、パーソナライズには、消費者がプライバシーな情報を何らかの形で企業に提供することが前提だ。そのため、想定していたほどのパーソナライズは進んでいないと指摘されている。
こうした状況に対して提唱されているのがPersonalization 2.0だ。その内容は以下のようなものだ。
シンプルで直感的でパーソナライズされていることを意識させない。
ユーザー個人のプライバシーを犠牲にすることなく提供され、ユーザー自身が利用されるデータをコントロールできること。
また、個人を特定するデータを必要とせずに、データを機械学習で予測して、コンテクストに応じたリアルタイム性を持ったサービスを提供できるようになる。
パーソナライズをウェブで展開するために必要なのがブラウザのCookieだ。
過去のデジタルチャネルはCookieに頼る部分が大きかったものの、欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)や米カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)に代表されるように、プライバシーへ配慮する意識が高まり、サードパーティーCookieの制限からファーストパーティーデータの重要性が増している。
Winterberry Groupの調査によれば、60.4%の企業がファーストパーティーデータの活用を強め、過去18カ月の活動としてターゲティングに利用する同データの利用増加率は57.1%におよぶ。
安西氏はPersonalization 2.0の重要性を強調しつつ、「誰であるかは関係なく、その人の需要や要望が分かればよい。顧客の背景や文脈の“解像度”を上げていくことが、顧客情報を保護する意味でも重要」と解説する。