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量子コンピューターの実行速度を100倍に--IBMがソフト基盤強化の取り組み

Stephen Shankland (CNET News) 翻訳校正: 編集部

2021-02-05 10:26

 IBMは米国時間2月3日、量子コンピューターの開発に向けた取り組み状況を発表する中で、量子コンピューティング向けソフトウェア基盤の強化により、同社の量子コンピューターの性能は2021年末までに100倍に達するとの見込みを述べた。

IBM
提供:Stephen Shankland/CNET

 今回発表された同社のロードマップでは、人工知能(AI)関連や複雑な金融/経済関連の計算処理といった課題に取り組める量子コンピューティングアプリケーションを向こう2年でリリースするという目標が掲げられている。また同社は、低水準(ハードウェア寄り)のプログラミングへのアクセスを可能にすることで、こうしたアプリケーション向けのより優れた基盤の構築につなげるとしている。

 同社は声明で、ソフトウェアの大半はオープンソーステクノロジーを用いて開発されるため、社外の開発者が貢献したり、利益を享受したりできると述べた上で、こうした開発によって「100倍の速度向上」が見込めると続けている。

 同社は、量子コンピューティングにまつわる複雑さを一般の人々にできるだけ意識させないようにするという取り組みの一環として、こういった量子コンピューティングソフトウェアの基盤強化を計画している。今日の量子コンピューターに有益な処理を実行させようとした場合、その作業はたとえZapata ComputingCambridge Quantum Computingといった専門企業の手を借りたとしても、かなり困難なものとなる。

 ソフトウェアの高速化により、古典的なコンピューター上で数カ月かかっていた処理が数時間で完了できるようになる可能性がある。つまり量子コンピューターを使えば、古典的なコンピューターでは扱えなかった問題の解決に一歩近づけるようになる。

 量子コンピューターの中核となっているのはキュービット(量子ビット、qubit)、すなわち1と0を重ね合わせた状態を保持できるデータストレージ兼処理要素だ。量子コンピューターでは、量子力学における「量子もつれ状態」(エンタングルメント)と呼ばれる物理現象を利用してキュービット間を接続することで、考えられ得る解の数が膨大となるような問題を扱えるようになっている。

 量子コンピューターを操作するには、キュービットマッピングと呼ばれる一連の処理、すなわちキュービットを用いた量子ゲート表現の作成処理が必要となる。量子コンピューターは、「量子回路」と呼ばれる特定のゲートの並びを用いることで、分子シミュレーションや独BMWが自社の複雑なサプライチェーンに対して適用しようとしている部品購入の最適化といった特定のタスクに向けた計算処理を実行できるようになる。

IBM
提供:IBM

 IBMは今後、これらの附随作業を容易にするためにアプリケーションモジュールやサービスを追加しようとしている。低水準なところでは、2026年まで量子回路技術の着実な改良を予定しているという。

 IBMは、現在の「Falcon」(27キュービット)から、2023年の「Condor」(1121キュービット)に向け、量子コンピューターに搭載するキュービットの数を増やす取り組みを続けている。さらに、IBM QuantumのバイスプレジデントであるJay Gambetta氏は動画の中で、同社は2024年をめどにキュービットのさらなる能力強化につながる安定化を実現するための、「誤り訂正」と呼ばれている、量子コンピューティングにおける重要技術を研究するようになるだろうと述べている。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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