開発者の間で人気が高まっているプログラミング言語「Rust」は今後、独立した財団「Rust Foundation」の支援を受けることになる。
Rustは、「C」や「C++」に代わる安全な言語を目指してMozillaなどが開発した。アプリケーション開発では広く使われていないかもしれないが、システム開発ではまたたく間に人気言語の1つに成長した。
Amazon Web Services(AWS)はRustコミュニティーを支援している。Microsoftも、C/C++で書かれたいくつかの「Windows」コンポーネントをRustで置き換えたりするなど取り組みを進めている。
Rustのバージョン1.0がリリースされたのは2015年のため、「Python」「Java」「JavaScript」などと比べると、まだ比較的新しい言語といえる。
MozillaのエンジニアはRustを使い、C++で書かれていた「Firefox」のレンダリングエンジン「Gecko」で、メモリー関連のバグを取り除こうとした。さらに、Firefoxの約16万行のC++コードを、8万5000行のRustで置き換えた。またこの言語は、Mozillaのブラウザー向けエンジン「Servo」でも、非常に重要な役割を果たしている 。
Rust Foundationの設立は、この言語にとって重要なマイルストーンになる。Mozillaの元エンジニアで、現在はAWSエンジニアとして、Rustに貢献しているNiko Matsakis氏は最近、MozillaがRustを所有しているという、誤った印象があると指摘した。
この財団設立で、AWSやMicrosoft AzureなどMozilla以外の組織から、支援を受ける手段が生まれることになる。
「残念なことに、MozillaがRustを『所有』しているという根強い認識があり、それが原因で企業の投資意欲が削がれたり、Mozillaが費用を負担しているならRustを支援する必要がないという誤った認識を生み出したりしている。財団の設立により、Rustは独立したプロジェクトだという、長年の事実を公式に明確にすることができる」と、Matsakis氏は1月にブログ記事で述べている。
「Rustを財政的に支援したいという大小の規模の企業の声を複数回聞いていたが、そのための明確な手段がない。財団を立ち上げることで、そのようなサポートが向けられる場が生まれる」(Matsakis氏)
Mozillaは今後もRustを支援していくが、単独でスポンサーを務めるわけではない。Rust Foundationは米国時間2月9日に、第1回目の理事会を実施する。
理事会の役員には、創設メンバー企業AWS、華為技術(ファーウェイ)、Google、Microsoft、Mozillaの代表者らが参加する。
Microsoftは過去1年間、Rustの継続的インテグレーション(CI)に関して費用を負担しており、AWSは、S3でストレージコストを支援するなどしてきた。
これまでRustは、明確な法人として運営されておらず、Mozillaの管理下にあった。しかし、Rustの商標やパッケージレジストリーの「crates.io」など、さまざまな形でプロジェクトに影響を与えていた。
新しい取り決めの下、Mozillaはcrates.ioパッケージレジストリーを含め、すべての商標とインフラ資産をRust Foundationに譲渡した。
Rust Foundationの暫定エグゼクティブディレクターのAshley Williams氏は、「これはRustの成長において、いくつかの点で大きな前進となる。業界有数のグローバル企業から、財政援助を正式に受けられるのはもちろんのこと、Rustが企業向けのプロダクションレディな技術として歩み出したことを表している」とコメントしている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。