はじめに
近年、マーケティングオートメーション(MA)ツールを導入する企業が増える一方で、有効に活用して成果につながった事例はそれほど多くありません。まだまだ各社が試行錯誤している段階で、活用しきれていない企業が少ないように感じるのは私だけではないはずです。
この連載では、MAツールでよく言われる情報収集や比較検討などについて、各ステージでどう考えるべきか、どう設定すべきかを説明していきます。この連載が終わる頃には、幅広い範囲でMAツールを活用して、成果につなげるための考え方と設定方法について知っていただけたら幸いです。
「ホットリードを抽出する」とは?
「ホットリード」とは、製品やサービスに対して購入意欲が高い見込顧客、もしくは関心が強い見込顧客のことを指します。まだ検討が十分でない見込顧客をフォローするよりも、十分に検討して強い興味を持ってくれている見込顧客にアプローチする方が効率的だという考えのもと、「ホットリードをいかに抽出するか」という議論がよくなされます。ではMAツールを使って、どのようにホットリードを抽出すればよいのでしょうか。
1.ホットリードの行動特性を考える
ホットリードを抽出するためにまず考えることは、可能な限り、ホットリード特有の行動を明らかにすることです。そのためには、ホットリードとそうでない人の行動特性をデータや仮説検証で区別する必要があります。企業や業界によって違いがあるので一筋縄にはいきませんが、地道に考え続けて検証していきます。以下に、ホットリードにおける行動特性の一部を提示し、「その特性を利用して、どうシナリオに落とし込むのか」について詳しく紹介していきたいと思います。
行動特性1:ホットリードは「早く情報を欲しがる」
最初に紹介するホットリードの行動特性は、「早く情報を欲しがる」ということです。製品やサービスに強い興味を持っていない、もしくはまだ先の話と考えているのであれば早く情報が欲しいとは思わないでしょう。一方で、近々製品やサービスを導入する予定がある人は、早く欲しいはずです。こうした意識は、多くの業界で共通しているのではないでしょうか。
行動特性2:ホットリードは「情報を取り逃がしたくない」
次に紹介するホットリードの特性は、「情報を取り逃がしたくない」気持ちが強いということです。真剣に検討している人にとって、情報は取り逃がしたくないものです。しかしホットでない人にとっては、それほど重要なものではありません。知ったところで、あまり意味がないからです。ホットリードにとって価値のある情報は、ホットでない人にはそれほど価値がないというわけです。
このように、ホットリードの特性を分析して考えることが具体的なシナリオを作成するための最初のステップです。
2.ホットリード抽出の問題点について考える
次に考えることは具体的なシナリオですが、その前に「よくあるホットリードの抽出方法」を紹介し、その問題点について考えてみたいと思います。
一般的には、メールの開封やクリック、資料のダウンロードといった行動をスコア化することでホットリードを抽出すると考えることが多いようです。しかしほとんどの場合、行動のスコア化だけでホットリードを抽出することは難しいというのが現実ではないでしょうか。