東京電力ホールディングスのグループ企業である東京電力エナジーパートナーは、2016年4月の電力小売り全面自由化に伴い、旧東京電力の小売り部門を担う企業として設立された。2019年7月にオペレーション部門の業務改革を推進する専任組織を当初3人で設立し、2020年4月にはデジタルトランスフォーメーション(DX)の全社展開を目指すDX推進室を社長直下に設置している。
この間、東京電力エナジーパートナーのDX化を支援したのが2019年10月に導入した、カスタマーサービスのソフトウェアをクラウドサービスとして利用できる「Zendesk」という。
Zendeskが2月18日に開催したオンラインセミナー「ニューノーマル時代の顧客エンゲージメントとは? - CX Trends 2021」に東京電力エナジーパートナー DX推進室 飯塚孝高氏が登壇して講演した。
つながらない電話の問い合わせをセルフサービスで解決
飯塚氏は導入理由として「強力なAPI連携機能」「直感的に操作できるUI(ユーザーインターフェース)」「複雑なビジネスロジックへの対応」の3点が重要だったと説明する。「Zendeskのすべて(の機能)が操作できるAPIや最小限のトレーニング期間、検証完了した業務をスムーズに拡大」できる点が大きかったという。
東京電力エナジーパートナーはZendeskで扱う業務範囲を段階的に拡大し、2021年1月時点のチケット数は月間16万(AIによる自動対応分を含む)におよぶ。オペレーター数は4つのコールセンター拠点と2つのチャットセンター拠点を合算して500人、Zendeskのショートカット(500)やマクロ(30)、トリガー(37)を活用して業務自動化も実現したという。
自社が抱えるコールセンターの課題として、飯塚氏は以下のように説明した。
「電話だけのチャネルでは、いつも混んでいてつながらず、(顧客には)セルフサービスで解決させたい。オペレーター側も新しい要件プランの追加で複雑化し、受け付ける内容が複雑化しつつも、オペレーターを支援するシステムがオンプレミスの制約で先進的なサービスとの連携が不可能」
導入から1年強を数えるZendeskだが、現在のシステム状況について飯塚氏は、「お客さまがセルフサービスやオペレーターに連絡できるチャネルとして、電話以外にチャットや“LINE”、FAQを含めてオムニチャネル化した。電話チャネルも“Amazon Connect”を採用し、“IBM Watson”やGoogleの音声認識とも連携。これらをZendeskで統合管理している」とシステムのポイントを解説した。
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