現在、東京電力エナジーパートナーは各チャネルでZendeskを活用している。顧客がFAQを検索するとWatsonの「Watson Discovery」のAPIを呼び出し、検索キーワードの意図に対して関連性の高いFAQを返すことで、月間100万回の閲覧があるFAQの検索結果を大きく改善。検索結果ゼロ率を50%から10%まで減少させた。FAQに対する顧客満足度は「残念ながら現在は50%程度」(飯塚氏)
この改善に取り組んだ同社はウェブサイトにフィードバックコメントを受け付けるフォームを作成し、その内容をリアルタイムにビジネスチャット「Slack」へ投稿。迅速な改善対応に努めている。さらに顧客向け、社内向け情報をZendeskで統合し、運用効率化を図った。Zendesk上に「役に立った」「関係なし」など利用者がフィードバックする仕組みを作成することで、検索精度の継続的向上を目指している。
チャットチャネルでは、LINEとウィジェット形式のウェブチャットを導入。基本は「Watson Assistant」と連携したチャットボットが応答し、オペレーターの対応が必要な問い合わせはZendeskで切り替える。
電気契約情報などを格納する基幹システムと両者を連携させることで、オペレーション効率は約2倍、顧客満足度は約1.3倍に向上したという。飯塚氏は「Zendeskのショートカットやマクロ機能を活用して効率化を実現」したと説明する。
さらに顧客がスマートフォンなどディスプレイサイズが小さいデバイスを利用していることを想定し、応答分の短縮やざっくばらんなメッセージを用意することで、チャット1件あたりの処理時間を5%短縮した。
また、オペレーターとマネージャー間のQ&A対応をSlackでリアルタイム化して、適切な回答を顧客に返す仕組みも導入している。コロナ禍で増加した問い合わせに対応するためチャットブースを100カ所追加した際も、Zendeskのマクロやトリガーを活用することでバックオフィスなどの煩雑な対応を簡略化した。
前述の通り、電話受付窓口はAmazon Connectに切り替えている。「ZendeskとAmazon Connectのソフトフォンを連携させ、自動応答情報をオペレーターへ引き継ぐ」(飯塚氏)ことで電話受け付けの効率化を目指している最中だ。数値的な結果は出ていないものの、オペレーターの業務負担軽減に寄与すると期待できる。
飯塚氏はスムーズに新システムへ業務移行するポイントとして、「既存環境と切り離して新しい環境を構築し、業務を切り出して段階的に移行。そしてリリース後も柔軟に変更する」の3点を意識することを推奨した。