日立製作所(日立)は、ドローンやヘリコプターによる空撮映像から、災害状況を高精度に解析する人工知能(AI)を開発した。
災害発生時、人がすぐにはたどり着けない現場の状況を、迅速かつ容易に詳しく把握することが可能となる。なお、この技術はアメリカ国立標準技術研究所が主催する映像解析のワークショップ「TRECVID (TREC Video Retrieval Evaluation) 2020」で、災害映像解析のタスクであるDSDI(Disaster Scene Description and Indexing)において、全17チーム参加の中、外部データを使用しないチームでのトップレベルの認識精度を達成した。
DSDIでは、大量のテストデータが、浸水家屋、橋梁倒壊、地滑り、がれきの山といった、どの災害状況に当てはまるかの度合いをランキング付けして予測する。予測したランキングと正解のランキングとの比較で、AIの認識精度が評価される。
今回開発した技術の長所は、映像内に映るものが複数でもそれらを同時に精度良く認識できる、広範囲を撮影した映像の中から、人が見つけにくい小さなものを見つけられる、学習サンプル数が少なく、AIに教えることが困難な災害状況に対しても高精度で認識できる、見逃し/誤分類などの誤った情報を多く含む学習サンプルに対応したAI学習手法によって、人でも判断が難しい災害状況の誤認識や見逃しを減らすことができる、という4つだとしている。
従来、空撮映像から災害状況を解析する場合、災害によっては学習データ数が少なく、認識精度に影響が出るという課題がある。また広範囲を撮影した映像では、特定したいものが非常に小さく映っていたり、さまざまなものや災害状況が同時に映っていたりすることがあり、そうした場合は起きている状況を正しく認識することが困難だった。