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AWS、マイクロソフト、グーグル--主要クラウド動向2021年版(1) - (page 3)

Larry Dignan (ZDNet.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2021-04-01 06:30

Microsoft Azure

ハイブリッドに強く、エンタープライズ業界の人気も高い強力なナンバー2

Microsoft Azure
提供:Microsoft

 Microsoft Azureや、MicrosoftのSaaSに対する取り組み、そしてエンタープライズ企業からの強い支持が、同社をAWSに次ぐ強力なナンバー2にしている。エンタープライズ企業が推奨クラウドプロバイダーを選択する際には、Microsoftが選択肢の1つになるだろう。

 単純に見れば、Microsoft AzureとAWSはクラウドサービスプロバイダーの首位を目指す戦いで正面からぶつかり合うように見えるかもしれない。しかし実際には、市場における両社の位置づけはあまりかみ合っていないかもしれない。

 その理由は以下のようなものだ。

  • Azureの売上高に関する公式なデータは現在も公開されていない。AzureはMicrosoftのクラウド事業の中でAWSと最も正面からぶつかる部分だが、この事業の業績はコマーシャルクラウド事業の数字の中に埋もれている。
  • コマーシャルクラウド事業はMicrosoftの複数のサービスを合わせたものだ。企業はAzureを含むバイキング的なメニューを購入する可能性が高いが、必ずしもAzureのみが目当てではないかもしれない。とはいえ、Microsoftのコマーシャルクラウド事業は2020会計年度に、年間売上高ランレートが500億ドルを超えた
  • Microsoft Azureは同社のSaaS事業の市場シェアから恩恵を受けている。Microsoftの売上高の多くが「Office 365」「Dynamics」をはじめとする、インフラを利用するソフトウェアベースの多数のクラウドサービスからのものであることを考えれば、実際にはわれわれが、同社をIaaSのカテゴリーではなくSaaSのカテゴリーに分類することも容易に考えられる。
  • それにも関わらず、AzureとそのAI、機械学習、そしてエンタープライズ市場における同社の歴史が、Azureを手ごわい存在にしている。Azureにはエッジコンピューティング関連の取り組みもある。

 また、新型コロナウイルスの流行で多くの企業がリモートワークにMicrosoft Teamsを利用するようになったことが、Azureのクラウド事業にとって大きな推進力となった。その反面、Microsoftは需要の急増によってキャパシティの問題と格闘することになった。こうしたキャパシティに関する問題は、2020年を通じて続いた。GartnerがAzureに高い評価を与えつつも可用性に関する懸念があると指摘したが、Microsoftは自社カンファレンス「Ignite」でキャパシティについて強化する施策を発表した。

 MicrosoftのCEOであるSatya Nadella氏は、同社のクラウド事業はさまざまなDXの取り組みの中心にあると主張した。「この2カ月で2年分のデジタルトランスフォーメーションが起こった。わが社は毎日、リモートでのチーム作業、営業やカスタマーサービス、必要不可欠なクラウドインフラやセキュリティなどのさまざまな分野で、顧客があらゆるものがリモート化された世界でビジネスを継続できるように、顧客に寄り添った取り組みを続けている」とNadella氏は述べている。

 簡単に言えば、Azureはエンタープライズ市場に古くからいる企業の強みをクラウドサービスプロバイダーとしても発揮しているわけだが、価格は複数の収益化モデルやバンドルを組み合わせたものになるだろう。AWSとMicrosoftの本当の戦いは、今後マルチクラウド化を進める予定だが、1社の推奨クラウドサービスプロバイダーを求める企業をめぐってのものになるはずだ。AWSやMicrosoftはメインのプロバイダーになれるのだろうか?その点では、MicrosoftはSalesforceとも組み合わせることができる便利な存在だ。Salesforceが「Marketing Cloud」のパートナーに選んだのはAzureだったし、MicrosoftはSAPOracle、Adobeなどの企業とも提携している。それに加えて、Microsoftを選べば、同社の複数のクラウド製品を「Microsoft 365」のバンドルとして組み合わせることもできる。Microsoft 365はさまざまな業界向けのパッケージが用意された、クラウドとエンタープライズソフトウェアをバイキング形式で利用できるサービスだ。ただし、上手に利用できなければ隠れたコストが生じる可能性もある。

 Microsoftはまた、ハイブリッド市場におけるサービスを強化するために、サーバーベンダーとのパートナーシップを深め、ハイブリッドクラウドやプライベートクラウドをターゲットとした統合スタックを生み出している。「Azure Arc」や「Azure Stack」「Azure Stack Edge」などは、どれもこうしたハイブリッド市場を狙った取り組みの例だ。

 Microsoft AzureとAWSの戦いは、最終的には営業合戦と大規模な営業部隊が企業にサービスを販売する戦いに帰結するかもしれない。TeamsやMicrosoft 365、Dynamics、Azure、あるいはそれらの組み合わせを導入することでMicrosoftのクラウド顧客になる企業もあるはずだ。実際には、多くの企業が2つのトップクラウドサービスプロバイダーを両方とも利用し、どちらのプロバイダーもスタック全体を独占することはできていないという状況になると考えられる。マルチクラウド化の取り組みは、多くの場合、MicrosoftとAWSを両方とも使うことからスタートするだろう。そこから、企業のIT予算のシェアを奪い合う泥仕合となるかもしれない。

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