Google Cloud Platform
販売規模を拡大し、特定業界向けの取り組みを強化しつつある強力なナンバー3

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Google Cloud Platformと「Anthos」プラットフォームは、企業のDX予算を奪う戦いに割って入ろうとしている。その一方で同社は、小売業界や金融サービス業界などの、鍵となる業界向けのサービスにも手を広げている。
Google Cloud Platformは、この1年間で戦略を立て、営業部隊を充実させ、差別化されたサービスを構築してきたが、パフォーマンスの問題も発生した。ただし、Google Cloudの業績はコロナ禍とGoogle Meetによって上向いている。また同社は、マルチクラウドワークロードの管理を獲得する戦略を立てている。2021年のGoogle Cloudは、引き続きその影響範囲や足がかりを拡大していくと考えられる。
Google Cloud Platformの年間売上高ランレートは160億ドル(約1兆7000億円)に達しようとしており、次々と大型契約を獲得している。また強力なリーダーとしてOracleの古株社員だったThomas Kurian氏を擁しており、AWSやMicrosoft Azureの有力な対抗馬として認識されている。Kurian氏はOracle的なモデルで個別業界をターゲットとして、勝ち目のあるユースケースを作ろうとしているように見える。例えばGoogleの広告を利用していることが多く、Amazonとの競合問題を気にせずにクラウドのコンピューティングリソースを使いたい小売業界などがその例だ。教育業界や金融業界も同様かもしれない。
2020年第1四半期のGoogle Cloudは、リモートワーカーの間で人気を博したGoogle Meetのヒットによって大きな成功を収める結果となった。同社は、Zoomのセキュリティに関する騒動にも助けられてビデオ会議市場で急速に影響力を拡大した。Google Meetは「Google Workspace」と連携している。第2四半期には営業部隊を充実させ、マルチクラウド市場や個別業界をターゲットにした。
GooogleのCEOであるSundar Pichai氏は、新型コロナウイルスはデジタルシフトへの転換点になったと述べている。「究極的には、ビジネスからデジタルサービスへの移行が長期的に加速していくだろう。これには、オンラインでの仕事や教育、医療、ショッピング、エンターテインメントの増加も含まれる。こうした変化は大きなものになるだろうし、長く続くだろう」と同氏は述べている。
一方で、Google Cloud PlatformはSalesforce、Informatica、VMware、SAPなどの重要なエンタープライズ市場の企業とのパートナーシップを構築している。同社はまた、「G Suite」とGoogle Cloudの営業の取り組みを組み合わせている。
Google Cloud Platformが戦略を成功させるには、特定業界への売り込みを行うことができ、AWSやMicrosoftが持つ営業のノウハウに対抗できるチームが必要だ。Kurian氏は、自分の周囲をエンタープライズソフトウェア業界のベテランで固めている。
2019年にはHamidou Dia氏がGoogle Cloudのソリューションエンジニアリング担当バイスプレジデントとして雇用された。Hamidou氏はOracleの営業コンサルティング、コンサルティング、エンタープライズアーキテクチャー、カスタマーサクセスの責任者を歴任してきた。同社はまた、John Jester氏を顧客体験担当バイスプレジデントに任命した。Jester氏は、アーキテクチャーとベストプラクティスを専門とするサービス部門を率いている。同氏の前職は、Microsoftのワールドワイドカスタマーサクセス担当コーポレートバイスプレジデントだった。