本連載では、筆者が「気になるIT(技術、製品、サービス)」を取り上げ、その概要とともに気になるポイントを挙げてみたい。今回は、NTTデータがMicrosoftとの協業に基づいて開発した「業務自動化ソリューション」を取り上げる。
「WinActor」と「Teams」の連携で業務を自動化
NTTデータは先頃、2014年から提供するロボティックプロセスオートメーション(RPA)ツール「WinActor」と、Microsoftが提供するチャットツール「Microsoft Teams」を連携させ、Teamsのチャットメッセージから申請業務や「Office」の操作をWinActorが自動で実施できるソリューションを開発し、実証実験を経て商用化していくと発表した。
新たなソリューションでは、WinActorとTeamsを連携させることにより、チャットでの会話形式で指示を送るとWinActorが自動でその指示を実行する。NTTデータではWinActorで自動化された業務をTeamsのチャットで実行できる仕組みを構築し、社内で活用しており、社員の稼働削減やユーザーの利便性向上という効果が得られているという。
労働人口の減少や働き方改革の推進により、デスクでの作業を行う事務や管理部門などでの業務でもさらなる業務の効率化が求められている。また、コロナ禍によるリモートワークの拡大により、ビジネスチャットツールが急速に普及している状況で、ソフトウェアロボットの重要性が増してきている。
NTTデータとMicrosoftは2020年6月に新たなデジタルソリューションの実現に向けた協業を開始。今回はその取り組みの一環となる。(図1)
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新ソリューションの具体的な機能は以下の通り。WinActorとTeamsを連携させることで、従来は自身で申請画面などを立ち上げて入力していた業務や、PCからWinActorを起動して実行していた業務を、チャットによる会話形式で指示を送ることでWinActorが自動でその指示を実行、完了する。
例えば、「Teamsでのチャット経由で社内システムと連携し有給休暇や残業の申請を行う」「Teamsでのチャットから検索キーワードを入力し、社内ポータルサイトやインターネットサイトから情報収集を行う」「Teamsでのチャットから指示し、稼働集計や報告資料作成などのOffice操作を行う」といったことが可能になる。
NTTデータではWinActorで自動化している業務のうち、約50の業務をTeamsと連携させることで、連携前と比較して利用率が約2倍向上し、90%以上のユーザーから利便性が向上したと回答を得ており、WinActorとTeamsの連携による効果を確認しているという。