(編集部より:本記事はSNSエキスパート協会による寄稿です)
コロナ禍の小売業界では、チャット接客やライブ配信などの「オンライン接客」が急増しています。オンライン接客は、感染症対策のほか、店舗から離れた地域に住む人や足を運ぶ時間がない人にも向いているため、選択肢の一つになりつつあります。
オンライン接客では「Instagram」なども活用されており、SNSとの親和性は高いと言えます。そこで今回、SNSエキスパート協会 理事の本門功一郎氏が聞き手となり、Eコマースエバンジェリストの川添隆氏に、急速に普及するオンライン接客の現状やリアル接客との違いなどについて、インタビューを実施しました。川添氏は2020年の4月から、自身でオンライン接客を受けた体験や複数社への取材を通して、オンライン接客の種類や特徴をまとめています。
本記事では、アパレル企業を中心としたオンライン接客の事例や、オンライン化に伴う課題/乗り越え方を紹介するとともに、後半では「企業としてのSNS運用」に関する川添氏の質問にインタビュアーの本門氏が回答しています。コロナ禍における新たな施策の発見や、SNS活用の見直しにつながれば幸いです。
コロナ禍で進んだ、各フェーズのオンライン接客
本門氏:川添さんが執筆した「note」の記事では、来店“前”、来店“中”、来店“後”でオンライン接客を分類していますよね(図1)。コミュニケーションの手段はたくさんあると改めて感じたのですが、コロナ禍でオンライン接客をうまく活用している企業の事例があれば教えてください。
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川添氏:まず来店“前”の施策では、店舗スタッフによる「コーディネート投稿」があります。これは結構、いろんな企業でやっています。2020年4月に発令された緊急事態宣言に伴い、多くの店舗が営業自粛を余儀なくされ、スタッフは自宅待機となりました。そんな中、全ての店舗スタッフが得意とするのはコーディネートであることから、多くの企業がコーディネート投稿の取り組みを強化しました。
セレクトショップ「FREAKS' STORE」は、販促支援サービス「STAFF START(スタッフスタート)」を同年3月に導入し、4~5月に運用を進めました。このツールは、コーディネート投稿を簡易化するとともに、投稿を経由した自社ECサイトの売り上げを可視化します。店舗やスタッフごとの売り上げも分かるので、正当な評価につながるでしょう。
来店“中”の施策には、チャット接客、ライブ配信、ライブコマースなどがあります。特にこの時間軸の取り組みは、コロナ禍で加速しました。例えば、アパレルなどの事業を展開するベイクルーズは以前から行っていたチャット接客を強化し、ユナイテッドアローズのブランド「green label relaxing」は2020年4月末に「LINE」を用いたチャット接客を開始しました。
ライブ配信では、Instagramのライブ配信機能「インスタライブ」が主に活用されています。多くのブランドは、インスタライブの回数を増やして強化していました。さらに、新たな施策として「ビデオ接客」があります。アパレルメーカーのオールユアーズは2020年4月に「Zoom」を使った個別接客を開始し、大手を含め他の企業も追随しました。ですが店舗の営業再開後は、ビデオ接客は減り気味で、チャット接客が増えているそうです。
来店“後”に関しては、先ほど話したSTAFF STARTの中に「QRメモ」という機能があります。この機能では、ECサイトなどのURLをQRコードに変換し、その場では購入に至らなかった顧客に対して、彼らが気になった商品などの情報を送ることができます。