Red Hatが「『Red Hat Enterprise Linux』(RHEL)のリビルド版である「CentOS Linux」から、最新版のRHELの少し先を先行する『CentOS Stream』に重心を移す」と発表した際、多くのユーザーは憤慨した。同社はこうしたユーザーをなだめるとともに、オープンソース組織への約束を堅持するために米国時間2月25日、新たな無償OS「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)for Open Source Infrastructure」を提供すると発表した。
「オープンソースにまい進している」非営利の組織やプロジェクト、コミュニティ、標準化団体、財団であれば、今回発表されたプログラムを通じて無償のRHELサブスクリプションを利用できるようになる。Red Hatは1月、「Red Hat Developer」プログラムを拡大し、小規模本番ワークロードや、顧客の開発チームに向けてノーコスト版のRHELを導入すると発表していた。
以下は今回の発表を踏まえた上で、オープンソース組織が利用できるRed HatのOSファミリーを整理したものだ。
- 「Fedora」:Linux OSを改良/拡張していくための最先端機能の開発に向けた原動力と位置付けられている。
- CentOS Stream:エンタープライズ向け製品として世界的に利用されているLinuxプラットフォームの次期リリースに対し、アプリケーションやワークロードをテストするOSと位置付けられている。
- RHEL for Open Source Infrastructure:オープンソースのコミュニティーやプロジェクト、財団、その他の組織に向けて、革新的なオープンソースソフトウェアを開発/ホスティングするための安定した基盤を提供するOSと位置付けられている。
そしてもちろん、有償版のRHELを利用することもできる。
Red Hatでオープンソースプログラムのオフィスマネージャーを務めるJason Brooks氏は、次のように説明している。
オープンソースソフトウェアのエコシステムをサポートすることは、Red Hatの目標において中核をなしている。この目標は単に、オープンソースの世界でRHELやその他のRed Hatソリューションをサポート可能にするということのみを見据えたニーズから来ているわけではない。われわれはより大きな、相互に依存し合うエコシステムの一部であることを認識している。われわれは、そうしたエコシステムからメリットを享受するとともに、その醸成とサポートに全力を尽くしている。この種のサポートにはさまざまな形態が考えられるが、多くの場合、オープンソースソフトウェアのプロジェクトや財団、標準化団体による開発やテストを可能にするために、エンタープライズテクノロジーへのアクセスを提供するという支援も含まれている。
われわれはたびたび、これらの団体に対してRHELの無償アクセスを提供しているが、そのプロセスはわれわれが望んでいたような正式なものではなく、一貫性、透明性にも欠けていた。また、われわれは2021年末時点で自らのリソースをCentOS Streamにシフトすると発表しているため、オープンソースにまい進するこれら組織が未来のオープンソースソフトウェアを開発、テストする際にRHELに確実にアクセスできるようにしたいと考えている。