日立製作所は3月2日、「生体認証統合基盤サービス」第2弾として、非接触型指静脈認証デバイスの「日立指静脈認証装置C-1」(C-1)と、PCカメラ向け生体認証ソフトウェア開発キット(SDK)「日立カメラ生体認証 SDK for Windowsフロントカメラ」(生体認証SDK)を発表した。
3月9日から提供する。C-1は税別価格12万円、生体認証SDKは個別見積もりとなる。
同社はC-1をBtoBtoC向け、生体認証SDKをBtoB向けに位置づけ、販売時点情報管理システム(POS)ベンダー大手の東芝テック(品川区)やセキュリティシステムなどを手がけるクマヒラ(中央区)と連携し、C-1を組み合わせた生体認証システムをオフィスや小売り店舗などへの展開を予定している。
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指3本で精度が6倍に
日立製作所は本人認証やキャッシュレス決済を安全に実現するというクラウドサービスである生体認証統合基盤サービスを2020年10月に発表している。生体認証統合基盤サービスは、生体情報を「秘密鍵」とする公開鍵認証を活用した認証技術「公開型生体認証基盤(Public Biometric Infrastructure:PBI)」がベース。同年12月から同社内のカフェテラスで指整脈認証デバイス「日立指整脈認証装置H-1」(H-1)を用いたキャッシュレス決済を検証してきた。
日立製作所 サービス&プラットフォームビジネスユニット セキュリティ事業統括本部 セキュリティソリューション本部 部長 夏目学氏
当時の同社は「他社にも協力してもらいながら自社製(指静脈認証)端末を用意」すると述べていたが、その発言を具現化したのが今回のC-1である。小売りのセルフレジやオフィス、店舗に設置したC-1に指3本をかざすことで、キャッシュレス決済や入退管理、会員管理などに利用できるのが特徴的。
日立製作所 サービス&プラットフォームビジネスユニット セキュリティ事業統括本部 セキュリティソリューション本部 部長 夏目学氏は「指1本よりも大規模な認証を実現するため指3本を選択した。(日立ヨーロッパがインスタンブールのAktif bankなどと提携した実証実験では指4本という)アイデアも考えたが、撮像するカメラの位置や指との距離、生体情報を取り出してPBI化するスピードなどを勘案して、3本で十分という判断に至った」と説明する。