勘定照合業務の40%を自動化
米本社Oracleと日本オラクル自身も利用する連結経営管理クラウド「Oracle Fusion Cloud EPM」は、2020年度5月期年度末決算で、Oracleは前年度より3日短縮した10日目に発表。日本オラクルも前年度から3日短縮している。その背景にあるのは、Fusion Cloud EPMが備えるAI系機能群という。
「請求データをクラウドERP(統合基幹業務システム)に添付ファイルを含むメールを送信、請求書データを自動で読み込み、異なる帳票も自動組み替えで対応。特殊なレイアウトや項目位置が異なる例外データについても学習しながら、段階的に読み込み精度を向上させる『Intelligent Document Recognition(IDR)』」(日本オラクル クラウド・アプリケーション事業統括 ERP/HCMソリューション・エンジニアリング本部 FMS/EPMソリューション部 部長 久保誠一氏)でOracleの買い掛け・未払い金業務の月次締め処理時間を30%短縮させている。
IDRは今後、勘定科目コードの既定値を自動設定可能な「Intelligent Account Combination Defaulting(IACD)」機能を実装する予定だ。
連結決算において「障壁となるのが決算業務で非デジタルな部分」(久保氏)だが、Oracleは個社単体決算の勘定照合業務や連結の内部取り引き明細照合業務、検査対応工数の削減を通じて、2万件におよぶ勘定照合業務の40%を「Account Reconciliation」で自動化した。
Account Reconciliationの機能を端的に解説すると「現実の数値とERP上の帳簿数値を照合する業務を自動化」(久保氏)するものだ。さらにリモートワークにおける決算業務を支援する「Intelligent Process Automation(IPA)」を実装することで、在宅勤務の進捗状況や業務の実施履歴の可視化や、他社ERPや会計システムと連携する「クローズマネージャー」機能も活用した。

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将来計画や予測精度を向上させる「Predictive Planning」は今後、「Intelligent Performance Management(IPM)」に発展する予定である。
Predictive Planningは過去の実績データを踏まえて13種類の統計関数から最適なものを選択し、人が入力した実績値と見込みを比較する機能。久保氏はIPMについて「対外的なデータ(サードパーティーデータ)に対応する。たとえば景気動向指数やSNSのデータなどを取り込み、潜在的な相関関係を見いだして予測することが可能」になるという。
四半期ごとに新機能を提供するOracle Cloudを通じて、「リスク管理や財務計画・分析など自動化されていない領域に対して段階的に機能を拡充していく」(久保氏)

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