出社と在宅が共存--ロジクールとZoomが考えるオンライン会議の近未来

田中好伸 (編集部) 阿久津良和

2021-03-08 07:00

 ロジクールは1月20日、カメラやスピーカー、マイクを一体化し、単独利用可能な法人向けオンライン会議端末「Rally Bar」を発表した。注目したいのは、PCやスマートフォンを用意せずに、会議室で利用する「Zoom Rooms」のオンライン会議に参加できる「『Rally Bar』アプライアンス バンドル Zoom版」の存在である。

 ロジクール 執行役員 法人事業本部長 野村宜伸氏と、ZVC Japan カントリーゼネラルマネージャー 佐賀文宣氏にRally Barやアプライアンスについて話を聞いた。

土砂崩れをドローンで撮影してZoomで視聴

――まずはロジクールとZVC Japanの提携はいつから始まったのか。日本市場における提携も含めて背景を聞かせてほしい。

ロジクール 執行役員 法人事業本部長 野村宜伸氏
ロジクール 執行役員 法人事業本部長 野村宜伸氏

野村氏:グローバルではわれわれがラブコールする形で、2年以上前から提携してきた。日本は私が約1年半前に入社して佐賀氏とお目にかかり、本格的に案件の共有が始まった次第だ。

佐賀氏:私が2019年2月にZVC Japanに入社したので、その春ぐらいだろうか。当時20人程度の社員全員でロジクールに押し掛けて、製品概要などを教わりながら提携に至った。お付き合いは2年を数える。

――日々存在感を増しているZoomだが、日本市場の反応を聞かせてほしい。

佐賀氏:2020年は個人アカウントにひも付いたオンライン会議が爆発的に行われた。これまでは人同士がつながるため、(コロナ禍で物理的制限が掛かり)仕方なく用いられていたが、消費者にサービスを提供する用途が増えたように感じる。

 たとえば実店舗に来店して目にしてきた商品をZoom経由で商品紹介に努める小売業、後継者不足で余っている農地を全国の企業に誘致し、ドローンを飛ばして作物の育成情報を伝える地方自治体。

 Zoomはネットワーク帯域が狭くても動画を(最適化して)飛ばせるので、土砂崩れの状況をドローンで撮影して映像をZoomのオンライン会議で視聴し、判断を下すようなケースなど市民サービスにZoomを利用するケースが増えてきた。

 そうなると映像品質と同じく音質の向上も必要だ。利用者からの要望も増えている。

 日本市場の反応だが、オンライン会議の需要は多い。2021年1月で終えた昨年の会計年度を見ると、売り上げは前年度比で約10倍、100億円を超えた。無料や個人、学校での利用も増えてアクセス量も約30倍に増加している。逆に(コロナ禍で人がオフィスに集まらないため、)会議室で利用するZoom Roomsの売り上げは低下した。

 だが、人々がオフィスに戻り、会議室に人が集まりつつあるが、在宅勤務者と“共存する”需要が増えつつある。その需要にお応えするのが、われわれとロジクールがともに取り組む理由の1つだ。

野村氏:同感だ。需要はまさにハイブリッド。全従業員が出社するわけでもなければ、出社せざるを得ない方もいる。(3密を避けるために)ローテーションで出社するケースも少なくない。そこでは会議室の内外で会話が発生し、(出社した従業員と在宅勤務者を)シームレスにつないで垣根をなくすのが、今の市場トレンドだと認識している。

低音質はストレスに--求められる高品質な映像

――数年前に思い浮かんだのが「オンライン会議に4K映像は必要なのか」という疑問。だが、Zoomの活用事例を伺うと、消費者は高い映像品質を求めている。数年前は考えられなかった。

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