佐賀氏:高品質を求めるのは音楽や医療の場面。日本は法的に認められていないが、遠隔診療時に心音を聞き取る場面など、海外では需要が高まっている。
野村氏:産業と連携すると多様な需要が求められる。CT(コンピューター断層撮影)検査時は高精細な映像が必要だ。他方でオンライン会議に4Kは必要かといえば、それほどでもない。話者に焦点を当て、周辺の明るさを調整する方が重要だ。
さらに音質の問題もある。会議のように複数の話者がいる場合、一方の声が聞こえにくいとオンライン会議体験が低下してしまう。品質の均一化など、まだまだやれることは多い。われわれはハードウェア面からセンシング技術を高めていく。
また、コロナ禍におけるオンライン会議体験も考慮すべきだ。1日1時間程度なら構わないが、8時間もヘッドセットを装着していると耳も痛くなり、低音質はストレスにつながる。ストレスフリーの需要は高い。4K映像以上が必要だと思わないが、底上げして一定の品質を担保しなければならない。
人の動きにあわせてカメラが焦点
――Rally Barが発表されてからの市場反応などを聞かせてほしい。
野村氏:3月に出荷開始予定だが、引き合いは多い。Rally Barは(小会議室用の)「MeetUp」と比較しても高品質で中会議室を想定している。つい小型のデバイスを選択しがちだが、中会議室では「使いにくい」という声を聞く。
オプションの「Rallyマイクポッド」を追加すれば、3密を回避するために中会議室を3~4人で使うことも容易だ。実際に試していただければ、さらに需要は高まると思う。中会議室で簡単にZoomを利用したいと考えている企業にRally Barはベストだ。
――「Zoom 5.5.0」は背景をぼかす機能やPCオーディオ共有時のステレオにも対応した。2020年9月には48kHz/192kbpsのステレオモードもサポートしている。オーディオ関連の強化理由と、今後とのロードマップを聞かせてほしい。
ZVC Japan カントリーゼネラルマネージャー 佐賀文宣氏(Zoomから参加)
佐賀氏:「共存」が最大の理由。会議室と自宅からオンライン会議に参加する場合、会話に参加するタイミングをつかみにくく、“つながっているようで共存できていなかった”。
会議室の映像が映し出されていても、モノラルでは誰が発言したのか分からない。Rally BarならAI(人工知能)で人の動きにあわせてカメラの焦点を当てるので、空間を共存しているような感覚をZoomとRally Barで実現できる。
Zoom自身も今年は共存をテーマにした機能を強化していく。ロジクールの協力が必要だが、会議室内の参加者をAIで認識して、遠方の席と手前の席に座る人の顔、リモート参加者の顔を並列させることで、発言機会を平等にする機能を今年リリースする予定だ。後は安全性の強化。操作回数を減らしてオンライン会議を操作する機能をソフトウェア側で実現していく。
「大会議室は不要だ」
――先程は「Zoom Roomsは不調」という話もあったが、「Rally Bar」アプライアンス バンドル Zoom版のターゲット企業を教えてほしい。