部品・金型製造のI-PEX(旧称:第一精工)は、SAP ERPからS/4HANA Cloudおよびクラウド型製造実行管理ソリューション「SAP Digital Manufacturing Cloud」への移行を決定した。SAPジャパンが3月8日に発表した。2022年初めの稼働開始を計画している。
I-PEXは、2008年1月にSAP ERPによる基幹業務全般におけるビッグバン導入プロジェクトを開始し、第1段階で国内6工場と海外7拠点(上海、シンガポール、マレーシア、インドネシア、香港、台湾、韓国)、第2段階で海外4拠点(北米、タイ、中国・東莞、フィリピン)での導入展開を順次進め、2010年4月に導入と経営基盤の統合を完了。連結子会社を含む21社で1つのインスタンスを利用してきた。
運用面では、SAPジャパンとインフラベンダー、アプリケーションの運用保守ベンダーが分離していたため、例えば、トラブル発生時に個別に連絡・相談をする手間があるなどの課題を抱えていた。計画や予算化の調整なども複雑になり、最新機能の利用やアプリケーションの保守などもタイムリーに行えないこともあったという。知識や技術を伝承する必要性も浮き彫りになり、これらの課題解決とコストメリットの観点から、インフラを含めSAPシステムに一本化することを決定した。
SAP Digital Manufacturing Cloudの導入は、ERPの更新と並行して行われており、製品の企画や設計、生産準備、製造、品質記録などをグローバルで共通化する取り組みになる。2018年にスクラッチ開発を前提に概念実証を開始したが、製造実行システムの標準化をコンパクトに実現するべくパッケージ機能を前提とすることに変更、S/4HANA Cloudの導入に併せてDigital Manufacturing Cloudを採用した。クラウドサービスのため工場展開が迅速で総所有コスト(TCO)を抑制できる点などを評価したという。