2020年12月21日に閣議決定した2021年度税制改正大綱には、電子帳簿保存法の改正が含まれている。中でも日常業務に大きく関わるのが、「電子取引の取引情報にかかる電磁的記録の保存制度の見直し」。キャッシュレス決済時の領収書を電子取り引き明細で代替するというものだ。
経費を精算する経理部門の負担軽減に寄与することは想像に難くない。この改正に関与したのが、出張・経費管理領域でクラウドサービスを展開するコンカーによる規制緩和への働きかけである。
コンカー ディストリビューション統括本部 デジタルエコシステム本部 本部長 橋本祥生氏
コンカー ディストリビューション統括本部 デジタルエコシステム本部 本部長 橋本祥生氏は、Sansanが3月8~12に開催したオンラインイベント「Sansan Evolution Week 2021 Spring」に登壇。「成功の秘訣はバックオフィスから-間接費改革から始める日本企業のDX」と題して講演した。
橋本氏は「日本法人発足以降、関係各省含め、さまざまなロビー活動を継続してきた賜物。日本の従業員の働きがいをレベルアップさせようという取り組みの1つ」と活動を振り返った。
デジタル化の成果を創出、体感できているか
橋本氏はデジタル化を間接費改革から始める理由として、「日本市場の生産性は低い。たとえばOECD(経済協力開発機構)加盟国36カ国中、日本は21位。2021年はデジタル庁の発足が控えており、国を挙げて生産性向上を目指しているが、企業が克服すべき障壁は『マインドセット』『クラウドサービスのベストプラクティス』の2つ」だと説明する。
橋本氏は前者についてアナログな企業文化から脱却し、後者については脱却に必要なクラウドサービスを活用し、接触型業務から抜け出すことが必要だと論じた。
同社が引用した富士通の「グローバル・デジタルトランスフォーメーション調査レポート2019」によれば、過去3年間でデジタルトランスフォーメーション(DX)の検討・試行や実行したと回答した割合は87%におよぶ(調査サンプル数は世界9カ国900人のビジネスリーダー)。
また、コンカーがパートナーと共同開催したセミナーでも、デジタル化の成果を創出、体感できているか調査したところ、会社全体、部門横断でフル活用できている企業は売上高2000億円以上の1割に満たない。デジタル化の成果を享受している企業は少なく、一部の部門や領域に限定される。
橋本氏は、全従業員にデジタル化の成功体験を提供するため、「広範囲で短気かつ低リスクで実行できる間接業務から着手するように提案している」とセッションタイトルにある間接費改革を提言した。
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