神奈川県の後方搬送マッチングシステムは、システム開発会社のワークログがkintone上で、およそ1週間で開発したという。医療機関が該当者の基礎情報を登録し搬送を依頼する「搬送調整依頼アプリ」、受け入れ可能な医療機関を検索する「受入可能医療機関アプリ」、医療機関のマスターデータとなる「下り搬送に係る調査アプリ」などで構成されている。(図2)

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この取り組みの成果としては、新型コロナウイルス感染症に限らず、転院先を探すために通常は1日以上を要するが、後方搬送の仕組みでは9割以上が2時間半程度で転院先が見つかっており、スムーズな調整が実現しているという。
なお、神奈川県においては、新型コロナウイルス感染症対策に関わる戦略的モニタリング基盤としてkintoneを採用しているほか、2020年11月に全国に先駆けて開設した「発熱等診療予約センター」の管理システムとしても活用されている。(図3)

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背景にアプリケーション開発者不足と企業DXの動き
以上が発表の概要だが、今回すでに1万社を超える導入実績があるkintoneを取り上げたのは、神奈川県での事例のように、新型コロナウイルス感染症対策を契機としてさらなる普及拡大に弾みがつくのではないかと感じたからだ。
神奈川県のほか、サイボウズは2月12日にも、東京都が3月から開始した医療従事者などを対象とした新型コロナウイルスワクチン接種の管理業務において、kintoneが採用されたことを発表した。東京都は都内に多数ある医療機関などにライセンスを配布し、業務担当者でもノンプログラミングで簡単にシステムが作成できるkintoneを活用し、ワクチン接種に関する必要な情報を各医療機関が入力、共有することで、ワクチン接種の受け付けから実施までにかかる業務の効率化につなげるという。