データベース市場においてオンプレミス環境ではガリバー的存在のOracle。だが、クラウド時代になっても変わらぬ存在感を発揮し続けることができるのか。日本オラクルの幹部に直撃してみた。
ポイントは「データの活用」と「市場での立ち位置」
写真1:筆者の取材に応じた日本オラクル 常務執行役員テクノロジー事業戦略統括の竹爪慎治氏
上記の質問に答えてくれたのは、日本オラクル 常務執行役員テクノロジー事業戦略統括の竹爪慎治氏だ。同社が3月16日、ハイブリッドクラウド製品戦略についてオンラインで記者説明会を開いたのを機に、会見で説明役を担った同氏に個別取材したものである(写真1)。
竹爪氏は会見で、同社のIaaS(Infrastructure as a Service)「Oracle Cloud Infrastructure」(以下、OCI)をベースとして、エッジコンピューティングを実現する「OCI Roving Edge」、Oracleのパブリッククラウドの全機能をオンプレミス環境で利用できる「OCI Dedicated Region」、データベース・アズ・ア・サービスの性能を顧客のデータセンターで利用できる「Exadata Cloud@Customer」、オンプレミスのVMware環境をOCIで利用できる「Oracle Cloud VMware Solution」などについて説明。それらの内容については関連記事を参照していただきたい。
ただ、こうしたオンプレミスとクラウドを連携させるハイブリッドクラウドの戦略展開は他社も注力している。今後、クラウドの利用がさらに広がっていくと見られる中で、Oracleはこれまでのオンプレミスと同様の存在感を示し続けられるのか。そのポイントについて、竹爪氏は「データの活用」と「市場での立ち位置」の2つを挙げた。
まず、データの活用については次のように語った。
「企業の基幹システムにクラウドが使われるようになるのはこれからだ。それはすなわち、基幹業務データがクラウドで利用されるようになるのは、これからということだ。当社のデータベースは基幹システムで広くご利用いただいているが、そのデータをパブリッククラウドや今回紹介したハイブリッドクラウドのいずれの環境においても快適に活用していただけるように準備を整えている」
さらに、こう続けた。
「ソリューションについては準備を整えているが、クラウド時代に当社が存在感を発揮し続けていくためには、それらのソリューションによって、さらにデータをどのように活用していけるかを、当社がもっとお客さまやパートナー企業にお伝えして理解していただけるように尽力する必要がある。それこそが、当社のデジタルトランスフォーメーション(DX)支援の“肝”だと考えている」