情報処理推進機構(IPA)は、「企業における営業秘密管理に関する実態調査2020」報告書を公開した。営業秘密の漏えいを防ぐ取り組みが進んでいることが分かった一方、運用面での課題も浮かび上がった。
調査は、2020年10月12日~11月27日にアンケートを行い、2175件の有効回答を得た。一部の項目では2016年の前回調査の結果と比較している。
まず情報漏えいに関するインシデントの発生は、「情報漏えいの事例はない」が前回調査の73.3%から78.3%に増加。「明らかに情報漏えい事例と思われる事象が複数回あった」は3.0%から1.1%に減少し、情報漏えいの発生が減少していた。
また、秘密保持契約を締結する企業の割合は、役員を対象とするケースで8.3ポイント、従業員を対象とするケースで10.1ポイントそれぞれ増加した。情報漏えいのルートは、前回調査で最多だった「誤操作、誤認など」が22.6ポイント減少したものの、「中途退職者」は7.7ポイント増加し、今回調査で最多だった。
営業秘密の漏えいルート、出典:IPA
情報漏えいに気づくことのできる対策の実施割合は、前回調査の50.2%から57.8%に増加した。ただ、「実施していることを従業員に周知していない」の割合が10.4%から24.9%へ約2.5倍に増加している。
営業秘密への不正アクセス防止策では、「特に何もしていない」の割合が27.9ポイントの大幅減になったが、導入率が増加したのはウイルス対策ソフト、ファイアウォール、アクセス権限の設定、OSやアプリケーションの常時更新といった基礎的な対策が目立った。
テレワークで既存のルールとは別に規定したルールの中では、「秘密情報を社外から取引先と共有する際のルール」や「クラウドサービスで扱う場合のルール」「SNSの利用に関するルール」を取り決めている割合が低いことも分かった。
(お詫び:初出時に「27.9ポイントの大幅増」と記載しましたが、正しくは「27.9ポイントの大幅減」でした。訂正いたします。)