デル、「PowerEdge」サーバー17機種を発表--第3世代「Xeon SP」「EPYC」を搭載

渡邉利和

2021-03-19 13:30

 デル・テクノロジーズは3月18日、サーバー製品「Dell EMC PowerEdge」の次世代モデルを発表した。需要の高まる人工知能(AI)やエッジなどのワークロードに向けた設計になっている。

(左から)デル・テクノロジーズ 執行役員 副社長 データセンターコンピュート&ソリューションズ事業統括の松本光吉氏、米Dell Technologies アジア太平洋/日本 データセンター&コンピュート担当バイスプレジデントのChris Kelly氏、米Dell Technologies プロダクトマネジメント&プロダクトマーケティング部門 サーバーソリューション担当シニアバイスプレジデントのRavi Pendekanti氏
(左から)デル・テクノロジーズ 執行役員 副社長 データセンターコンピュート&ソリューションズ事業統括の松本光吉氏、米Dell Technologies アジア太平洋/日本 データセンター&コンピュート担当バイスプレジデントのChris Kelly氏、米Dell Technologies プロダクトマネジメント&プロダクトマーケティング部門 サーバーソリューション担当シニアバイスプレジデントのRavi Pendekanti氏

 同社 執行役員 副社長 データセンターコンピュート&ソリューションズ事業統括の松本光吉氏はオンライン説明会で、「17機種の同時発表はPowerEdge史上最大で過去にない規模」だとアピール。「さまざまな社会的ニーズをくみ取ったテクノロジーで実現した製品」だと位置付けた。

 続いて概要を説明した米Dell Technologies アジア太平洋/日本 データセンター&コンピュート担当バイスプレジデントのChris Kelly氏は、「2025年までにエンタープライズデータの75%が従来の一元化されたデータセンターやクラウド以外の場所で処理されるようになる」という予測を紹介。その上で「現在のデータセンター中心のコンピューティングから、エッジ中心のコンピューティングに転換することになる」との認識を示した。これを踏まえて新しいサーバー製品群が構成されているとする。

 また、同氏は「デジタルトランスフォーメーション(DX)では『データプライバシーとサイバーセキュリティ』が障壁になっている」という調査結果を踏まえ、新機種はセキュリティやレジリエンシー(Resiliency:弾力性、障害やトラブルからの回復能力という意味で使われることが多い)を重視した設計になっていることも強調した。

 Kelly氏は「われわれは、ハードウェアが今なお顧客のビジネスの極めて重要なパーツであるということを明確に認識している」と語り、さらにそのハードウェア設計の中核的な原則となる“三本柱”として「アダプティブコンピュート」「自律型コンピュートインフラストラクチャー」「プロアクティブレジリエンス」を挙げた。

PowerEdgeサーバーの“三本柱”
PowerEdgeサーバーの“三本柱”

 次に、米Dell Technologies プロダクトマネジメント&プロダクトマーケティング部門 サーバーソリューション担当シニアバイスプレジデントのRavi Pendekanti氏が新しいサーバー製品群の概要や要素技術に関して説明した。

 まず、アダプティブコンピュートという考え方について、同氏は「最先端のテクノロジーを最適利用することにより予測可能で高い収益をもたらす成果を実現する」ことだと紹介。具体例として、GPUやFPGAといった新しいアクセラレーターデバイスの活用に加え、「SAP HANAのようなオンメモリーデータベースを実行するなら、Intel OPTANE Persistent Memoryのような不揮発性メモリーが有効だ」とする。基本的な考え方は「異なるワークロードを実行するためには異なるテクノロジーが必要になる」ということ、つまりワークロードの特性に応じて最適なハードウェア構成を選択することが重要だと指摘した。

アダプティブコンピュートの概要。ワークロードの特性に合わせて最適化されたサーバーを提供するという考え方
アダプティブコンピュートの概要。ワークロードの特性に合わせて最適化されたサーバーを提供するという考え方

 さらに、こうした考え方が具体的にどのようにして製品に反映されているかという点について、新製品「PowerEdge R750」「PowerEdge R6515」の仕様を比較しながら紹介した。

 PowerEdge R750では、近日発表予定とされる第3世代インテル Xeonスケーラブル・プロセッサー(Xeon SP)を搭載すると発表しており、「超並列形の線形方程式(Massively Parallel Linear Equations)の処理パフォーマンスが最大43%向上し、最も高いコンピューティングワークロードが求められる環境をサポート」する。

 一方、PowerEdge R6515では米国時間3月15日付けで発表されたばかりのAMDの第3世代AMD EPYCプロセッサー(Milan)を搭載し、「Hadoopの処理能力が最大60%向上」することからデータの収集や解析に向くという。

 こうした“ワークロードの特性に応じたサーバーの作り分け”について、同氏は「われわれの目標は単に『最新のCPUをサーバーに搭載して提供する』ことではなく、さまざまなテクノロジーを最適なバランスで組み合わせたアーキテクチャーをわれわれの独自の知的資産に基づいて構築することだ」としている。なお、インテルはまだ第3世代Xeonスケーラブルプロセッサーについて発表しておらず、AMDも発表直後ということで詳細情報については未公表の部分がある。

アダプティブコンピュートというコンセプトを具体的な製品に反映させるとどうなるかという例。R750ではインテルプロセッサーの処理性能を生かしたコンピューティング指向、第3世代AMD EPYCを搭載するR6515では、同プロセッサーのコア数の多さを生かしたデータ処理指向という具合に得意とするワークロードが明確化されている
アダプティブコンピュートというコンセプトを具体的な製品に反映させるとどうなるかという例。R750ではインテルプロセッサーの処理性能を生かしたコンピューティング指向、第3世代AMD EPYCを搭載するR6515では、同プロセッサーのコア数の多さを生かしたデータ処理指向という具合に得意とするワークロードが明確化されている

 自律型コンピュートインフラストラクチャーについては、顧客が運用するサーバーの台数が増加傾向にあることも踏まえて、運用作業を高度に自動化する“自己管理型”のサーバーを目指すという。また、3番目の柱であるプロアクティブレジリエンスは、同社のセキュリティに対する取り組みのことを指す。ベースとなるのは、同社が「Cyber Resilient Architecture」と呼ぶもので、全てのサーバー製品の設計土台となっている。

自律型コンピュートインフラストラクチャーの概要。Pendekanti氏は自動車の分野で進化を続けている自動運転の実現に向けた取り組みと重ね合わせて、現時点ではまだ完全な自動化には至っていないものの、数年後には大きな進捗を見せられるはずと語った
自律型コンピュートインフラストラクチャーの概要。Pendekanti氏は自動車の分野で進化を続けている自動運転の実現に向けた取り組みと重ね合わせて、現時点ではまだ完全な自動化には至っていないものの、数年後には大きな進捗を見せられるはずと語った
プロアクティブレジリエンスの概要
プロアクティブレジリエンスの概要

 製品の提供開始時期については、次の通りに発表されている。

  1. 第3世代AMD EPYCを搭載した「Dell EMC PowerEdge C6525」「R7525」「R6525」「R7515」「R6515」は同日に提供開始
  2. 第3世代AMD EPYCとNVIDIA A100 GPUを搭載した「Dell EMC PowerEdge XE8545」は2021年3月29日に提供開始予定
  3. 第3世代Xeon SPを搭載した「Dell EMC PowerEdge C6520」「MX750c」「R750」「R750xa」「R650」は2021年5月に提供開始予定
  4. 「Dell EMC PowerEdge R750xs」「R650xs」「R550」「R450」および高耐久サーバーの「PowerEdge XR11」「XR12」は2021年第2四半期に全世界で提供開始予定
PowerEdge」サーバーポートフォリオの全体像
PowerEdge」サーバーポートフォリオの全体像

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