日立製作所は3月22日、デジタルソリューション「Lumada」の旗艦拠点として「Lumada Innovation Hub Tokyo」を4月15日に開設すると発表した。
日立製作所 理事 サービス&プラットフォームビジネスユニット Chief Lumada Business Officerの熊崎裕之氏は記者会見の冒頭で、新拠点について「Lumadaの“つなぐ”を体現する場として作った。社会課題の解決に取り組む、共創活動のハブとなるフラグシップ拠点」とアピールし、さまざまな業種・分野のスペシャリストと直接対話が可能で、ワークショップやプロトタイピングに最適な空間と設備を用意すると語った。
Lumada Innovation Hub Tokyoは、時空を超えて一双のびょうぶに描いた「洛中洛外図」を設計コンセプトとしている。デザインモチーフとする「すやり霞」は、ここに集うさまざまな才能がデジタル変革(DX)を通じて生み出す多彩な価値を一つにつなぎ合わせることを象徴するという。これによって、対話による発想やひらめきなどを促し、イノベーションの創出を支える物理空間と情報環境を用意する。
具体的には、オンライン利用も可能な5つの協創空間「Meet-Up Square」「DX Gallery」「Co-Creation Studio」「Mirai Atelier」「Incubation Base」を提供し、ビジョン構築からビジネス化までの協創プロセスを支援する。
Lumada Innovation Hub Tokyoのコンセプト
「Meet Up Square」と「DX Gallery」では、DXの最前線で活躍するデータサイエンティスト、デザインシンカーなどのデジタル人材や、製造現場のライン制御、働き方改革の推進などさまざまな業務に精通したエキスパート、外部の有識者とリアルとバーチャルでディスカッションをすることができる。多様な知見やノウハウを取り入れながら議論することで、取り組むべきテーマや活動内容の枠組みを構築することが可能とする。
「Co Creation Studio」は、日立のデザインシンカーが、協創方法論 「NEXPERIENCE」として数多くの事例を通して培ってきたワークショップやエスノグラフィー調査などの手法を駆使しながら、業界の動向や現場の状況を可視化することで、ステークホルダーの意見が集約されたビジョン構築やアイデア創出を進める。
そして、「Mirai Atelier」と「Incubation Base」で、デジタルソリューションの検証や実装のプラットフォームとして「Lumada Solution Hub」を活用し、アイデアを素早く具現化する。Lumada Solution Hubには、日立やパートナーが培ってきたDXのユースケースやデジタルソリューションを順次登録し、アクセスできる環境を整えている。
Lumada Innovation Hubのコンセプト
また、Lumadaを活用したDX推進を強化するリーダーとして、Lumada Innovation Hub Senior Principalに加治慶光氏、Lumada Innovation Evangelistに澤円氏がそれぞれ就任する。
元アクセンチュア チーフ・マーケティング・イノベーターを務め、シナモンAI 取締役会長兼CSDO(チーフ・サステナブル・デベロプメント・オフィサー)の加治氏は、Lumada Innovation Hubの運営、コンサルティングサービスの提供、人材育成をリードしていく。元日本マイクロソフト 業務執行役員で圓窓 代表取締役の澤氏は、Lumadaのエバンジェリストとして、Lumadaアライアンスプログラム、Lumada Innovation Hubを含めたLumada関連施策について社外に向けた発信をリードしていく。
澤氏は記者会見で、「デジタルは人類のインフラになった」と語り、それに合わせて「ものの考え方や見方をしなやかに変えていく必要がある」と話した。「これまでデジタルの対象と見られていなかった産業領域にも影響を与えていたい」とし、イノベーションとはさまざまな要素の結合によって生まれるものであり、それらをつなぐためのハブが重要であるとした。
(左から)日立製作所 理事 サービス&プラットフォームビジネスユニット Chief Lumada Business Officerの熊崎裕之氏、Lumada Innovation Evangelistに就任した澤円氏、Lumada Innovation Hub Senior Principalに就任した加治慶光氏