Intelの最高経営責任者(CEO)Pat Gelsinger氏は、米国時間3月23日、CEO就任後初めてとなる大規模なブリーフィングを行い、同社が数年間にわたる困難な状況から立ち直るための戦略について語った。
「Intel Unleashed」と題したこのイベントは、同社の公式サイトのニュースページでライブ動画として配信された。Gelsinger氏が発表した内容には、7ナノメートル(nm)製造プロセスの問題に対応する計画のほか、米国と欧州の生産能力を拡大する計画の一環として200億ドル(約2兆2000億円)を投じて米アリゾナ州に2つの工場を新設すること、世界水準のファウンドリー事業を立ち上げることなどが含まれていた。同氏はまた、Intelの業績が1月に発表した業績見通しを上回る見込みであることも明らかにした。
Gelsinger氏は、近年何度も計画の遅延が発生したとされていた7nm製造プロセスの問題について最新の状況を説明した。同氏によれば、7nm製造は、アーキテクチャーを見直し、プロセスのフローをシンプルにしたEUV(極短紫外線リソグラフィ)の利用を拡大することで順調に進んでいる。7nm製造プロセスの設計初期段階ではEUVがまだ新しい技術であったことなどから、この技術を限定的にしか使用していなかったという。
Gelsinger氏は、インテルはこの問題を修正し、EUV露光装置の製造企業であるASMLと「強力なパートナーシップを結んだ」と説明した。Gelsinger氏は、「『Meteor Lake』向けの7nmコンピュートタイルのテープインを2021年中に予定している」とし、2023年にクライアントCPUを予定していることにも触れた。同氏は、今後予定されているGPUチップ「Ponte Vecchio」についても話した。スーパーコンピューターなどに採用される見通しだ。
またGelsinger氏は、「IntelのIDMモデルの次の進化形である『IDM 2.0』」について説明した。
同氏は、IDM 2.0は「3つの方向におけるリーダーシップの組み合わせ」だと述べた。第1の方向は、Gelsinger氏が1月に述べていたように、自社製品の大半を自社工場で生産できるようにすることだ。
第2に、Intelは社外のファウンドリーも活用していく。Gelsinger氏は、この方向性について「TSM、サムスン、GlobalFoundries、UMCとのエンゲージメントを拡大している」と述べた。
第3の方向として、Intelは「世界クラスのファウンドリー事業」を展開することを目指すという。同氏は、2025年には1000億ドル(約11兆円)の市場規模に期待できると述べた。この事業を担う部門である「Intel Foundry Services」は、Gelsinger氏の直轄部門になる。