Googleで「中古エアコン」と「販売」でも「買取」でも検索するとどちらも「エアコン販売王」「エアコン買取王」というウェブサイトがヒットする。中古エアコンの買取実績業界日本一というこのサービスを手がけているのが元気でんき(名古屋市中川区、従業員数25人)だ。
元気でんきは2002年に電気工事会社として創業。当初は企業間の取引がメインだったが、2009年からは一般顧客向けのサービスもスタート。事業規模が大きくなるにつれ、情報システムも変化し、紆余曲折を経て2014年にPaaS「kintone」を導入した。
メインの目的は経営の可視化。あらゆる情報をグラフ化し、飛行機のコックピットのように一覧し、経営戦略を立てるのに生かしているのだ。
今回は、ExcelからAccess、営業支援システム(SFA)、そしてkintoneへ辿り着いた経緯と現在の活用法について、元気でんき 代表取締役の河口エレキテル氏と執行役員の寺本雄作氏に話を聞いた。
元気でんきに話を伺った
ExcelやAccessでは限界
元気でんき 代表取締役の河口エレキテル氏
創業当時は企業中心に取引していたので、紙とExcelで情報を管理できていた。2009年、一般顧客向けに電気のサポートサービスを開始したところ、顧客が大幅に増加。しかし、PCに詳しくない従業員がExcelの重要な情報を消してしまうトラブルも発生した。そこで、当時お願いしていた税理士がデータベースソフトAccessを使ったシステムを作ってくれたのだ。
河口氏は経営指標をグラフで確認することにこだわっているため、寺本氏はAccessからデータをCSVファイルで出力し、Excelに読み込んでグラフ化していた。利益構造を分析していたところ、手がけた2000もの案件のうち、1%の件数が売り上げの23%を占め、粗利の40%となっていることに気がついた。そこで、この1%をさらに分析し、利益を高める戦略を思いついたという。
「正直、30個のグラフを見ても、社運を賭けるような戦略を作るのに役立つのは1つくらいです。そのため、いかに早くたくさんグラフを作れるかが重要です」(河口氏)
執行役員の寺本雄作氏
しかし、寺本氏がグラフを手作業で作るスピードにも限界がある。さらには取引件数や売上高が大きくなり、税理士が作ったAccessのシステムにも限界が来そうだった。
そこで、情報を一元管理して手軽にグラフで分析するため、あるSFAを導入した。だが、その営業マンができるといったことが実現できず、結局解約することになった。
そんな時に、河口氏はkintoneのバッグを持っていたウィルビジョン(名古屋市中区)の営業マンと出会う。ウィルビジョンは開発会社で、サイボウズアワード コンサルティング賞を受賞するほどkintoneにも精通している。河口氏が相談すると、kintoneでできることとできないことを明確に回答してもらい、信頼感が生まれ、最終的に導入することとなった。