松岡功の一言もの申す

AWSはなぜ「ユーザー視点のパートナー認定制度」に注力するのか

松岡功

2021-03-25 12:54

 クラウドサービスで先行するAmazon Web Services(AWS)が、ユーザー視点のパートナー認定制度の推進に注力している。いわば「ユーザーがパートナーを選びやすくした制度」で、AWSのビジネス姿勢を象徴したものだ。日本では3年ほど前から本格展開しているが、進展はどうか。そもそもAWSはなぜ、この制度に注力しているのか。

「ユーザー視点のパートナー認定制度」はさらに進展

 AWSの日本法人であるアマゾンウェブサービスジャパン(AWSジャパン)が3月23日にオンラインで開催したパートナー向けの年次イベント「AWS Partner Summit Japan 2021」で、現在705社が参加する国内AWSパートナーネットワーク(APN)における取り組みの状況や今後の展開について明らかにした。

 その基調講演の概要については関連記事をご覧いただくとして、本稿ではAWSがグローバルで「differentiate(差別化)プログラム」と呼ぶ3つのパートナー認定制度「マネージドサービスプロバイダー(MSP)プログラム」「コンピテンシープログラム」「サービスデリバリープログラム」に注目したい(写真1)。

写真1:AWSジャパン 執行役員パートナーアライアンス統括本部長の渡邉宗行氏
写真1:AWSジャパン 執行役員パートナーアライアンス統括本部長の渡邉宗行氏

 同イベントの講演でこれらを紹介したAWSジャパン 執行役員パートナーアライアンス統括本部長の渡邉宗行氏によると、MSPプログラムはクラウドのマネージドサービス提供スキルによる認定、コンピテンシープログラムはソリューション分野別のスキルや導入実績による認定、サービスデリバリープログラムはAWSの各種サービスの導入実績による認定で、いずれも「ユーザーがパートナーを選びやすい」ように見せているのがポイントだ。

 これらの認定における日本での現在の取得状況は、MSPプログラムは15社が取得。コンピテンシープログラムは26のソリューション分野において32社が49の認定を取得。サービスデリバリープログラムは23のサービス分野において48社が71の認定を取得している。さらに、これらのプログラムにおけるパートナーの認定取得状況を、ユーザーが自らの要望に沿ってさまざまな角度から検索できるようにした「AWSパートナーソリューションファインダー」と呼ぶツールも2019年8月から日本語で利用できるようになっている。(表1、表2)

表1:コンピテンシープログラムの中身(出典:AWSジャパン)
表1:コンピテンシープログラムの中身(出典:AWSジャパン)
表2:サービスデリバリープログラムの中身(出典:AWSジャパン)
表2:サービスデリバリープログラムの中身(出典:AWSジャパン)

 実は、この話については1年前および2年前の同イベントの取材を基に本連載で、2020年4月2日掲載「AWSが注力する『ユーザーがパートナーを“品定め”できる制度』は進展したか」、2019年3月13日掲載「AWSが注力する『ユーザーがパートナーを“品定め”できる制度』とは」と題して同じ切り口で取り上げ、大きな反響があった。そして今回も1年前と同じく、講演後、渡邉氏に話を聞くことができたので、以下にそのインタビュー内容(敬称略)をお届けする。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    「2024年版脅威ハンティングレポート」より—アジアでサイバー攻撃の標的になりやすい業界とは?

  4. セキュリティ

    生成AIを利用した標的型攻撃とはどのようなものなのか?実態を明らかにして効果的な対策を考える

  5. ビジネスアプリケーション

    Microsoft 365で全てを完結しない選択、サイボウズが提示するGaroonとの連携による効果

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]