クラウドサービスで先行するAmazon Web Services(AWS)が、ユーザー視点のパートナー認定制度の推進に注力している。いわば「ユーザーがパートナーを選びやすくした制度」で、AWSのビジネス姿勢を象徴したものだ。日本では3年ほど前から本格展開しているが、進展はどうか。そもそもAWSはなぜ、この制度に注力しているのか。
「ユーザー視点のパートナー認定制度」はさらに進展
AWSの日本法人であるアマゾンウェブサービスジャパン(AWSジャパン)が3月23日にオンラインで開催したパートナー向けの年次イベント「AWS Partner Summit Japan 2021」で、現在705社が参加する国内AWSパートナーネットワーク(APN)における取り組みの状況や今後の展開について明らかにした。
その基調講演の概要については関連記事をご覧いただくとして、本稿ではAWSがグローバルで「differentiate(差別化)プログラム」と呼ぶ3つのパートナー認定制度「マネージドサービスプロバイダー(MSP)プログラム」「コンピテンシープログラム」「サービスデリバリープログラム」に注目したい(写真1)。
写真1:AWSジャパン 執行役員パートナーアライアンス統括本部長の渡邉宗行氏
同イベントの講演でこれらを紹介したAWSジャパン 執行役員パートナーアライアンス統括本部長の渡邉宗行氏によると、MSPプログラムはクラウドのマネージドサービス提供スキルによる認定、コンピテンシープログラムはソリューション分野別のスキルや導入実績による認定、サービスデリバリープログラムはAWSの各種サービスの導入実績による認定で、いずれも「ユーザーがパートナーを選びやすい」ように見せているのがポイントだ。
これらの認定における日本での現在の取得状況は、MSPプログラムは15社が取得。コンピテンシープログラムは26のソリューション分野において32社が49の認定を取得。サービスデリバリープログラムは23のサービス分野において48社が71の認定を取得している。さらに、これらのプログラムにおけるパートナーの認定取得状況を、ユーザーが自らの要望に沿ってさまざまな角度から検索できるようにした「AWSパートナーソリューションファインダー」と呼ぶツールも2019年8月から日本語で利用できるようになっている。(表1、表2)
表1:コンピテンシープログラムの中身(出典:AWSジャパン)
表2:サービスデリバリープログラムの中身(出典:AWSジャパン)
実は、この話については1年前および2年前の同イベントの取材を基に本連載で、2020年4月2日掲載「AWSが注力する『ユーザーがパートナーを“品定め”できる制度』は進展したか」、2019年3月13日掲載「AWSが注力する『ユーザーがパートナーを“品定め”できる制度』とは」と題して同じ切り口で取り上げ、大きな反響があった。そして今回も1年前と同じく、講演後、渡邉氏に話を聞くことができたので、以下にそのインタビュー内容(敬称略)をお届けする。