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デジタル主権の確立目指すEU、量子コンピューター構築計画の展望 - (page 2)

Daphne Leprince-Ringuet (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2021-04-08 06:30

 欧州委員会は、量子コンピューティングに関する目標以外に、EU全体を網羅する安全性の高い量子通信インフラを開発するという目標も発表している。量子ネットワークは、通信と、秘密を要するデータ資産の保管のセキュリティを大幅に向上させるとともに、重要な通信インフラの安全性を保つことができる。

積年の関心事

 EUが量子技術に向けている関心は新しいものではない。欧州委員会は2018年に10億ユーロ規模の10年間の研究プロジェクトである「Quantum Flagship」を立ち上げた。これはEUでもっとも野心的な研究プロジェクトの1つだとされた。

 それ以降、各加盟国はそれぞれ独自に量子コンピューティング関連のプログラムをスタートさせている。特にドイツは、ほかの多くの国々に先駆けて、量子技術新興のための20億ユーロ規模の資金援助プログラムを立ち上げた。一方、フランスやオランダ、スイスなども、量子技術のスタートアップや研究のハブとしての地位を確立しようとしている。

 これによって欧州は、量子技術の人材や革新的な量子技術スタートアップが集まる、強い市場リーダーとしての地位を確立している。しかし、EUの最善の努力も、移り変わりの激しい量子技術研究競争においては、必ずしも十分だとはいえない。

 調査会社McKinseyのパートナーIvan Ostojic氏は米ZDNetに対し、「欧州は量子技術に関する知識の実用化に関して、知的財産の創出、ベンチャーキャピタル資金の確保、成熟したスタートアップや業界エコシステムの確立の面で米国と中国の後塵を拝している」と述べている。「欧州は量子技術のブレークスルーとなり得る応用の開発と規模拡大を加速させ、経済面での潜在的可能性を十分に発揮させられるような革新的な方法を見つける必要がある」

 米国は2018年に12億ドルの予算を伴う「米国量子イニシアチブ法」を成立させ、同国の研究者や企業は活気づいた。米国は一般に、量子技術分野の最大の競争相手だと考えられており、すでに成熟した量子技術のエコシステムを確立している。

 一方中国も、以前から量子技術に関心を示してきた。実際、中国政府が現地時間3月5日に発表した新たな5カ年計画でも、長距離高速の量子通信システムの開発や、数百量子ビットに対応しうる量子コンピューターの構築などをはじめとして、量子技術に関する意欲的な目標が定められている。

 欧州委員会の新しいロードマップは、量子技術の分野で世界をリードする地位に立とうとするEUの意欲を反映したものだが、Ostojic氏は、明確に定められた戦略がなければ、欧州がほかの国々に対抗するのは難しいと述べている。

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