Slack Japanは3月26日、オンラインイベント「リモートワーク活用企業に聞く! コロナ禍における、Slack活用の秘訣」を開催した。米本社主催の「Now is your moment to reinvent work」の日本版に位置し、Slackの「仕事の未来」に対する展望を明らかにすることを目的としている。
イベントでは、インテージヘルスケア(千代田区、従業員690人)、コープさっぽろ(札幌市西区、職員数4562人)、ソフトバンク(港区、単体従業員数約1万7300人)の3社のデジタル担当者が登壇して、Slackをどのように活用しているのかを話した。モデレーターは社会学者で慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(SFC) 研究所上席所員である古市憲寿氏が務めた。
スタンプの楽しさで共感
モデレーターが最初のテーマである「The future of work is empathetic & inclusive(仕事の未来は共感&包容力)」について尋ねると、インテージヘルスケア 代表取締役社長 仁司与志矢氏は「われわれも2020年4月から自宅勤務を推奨してきたが、足踏みも混乱もあった。だが、以前から週1回など定期的にリモートワークを実施していたため、回復力も高かった」とコメントした。
インテージヘルスケア 代表取締役社長 仁司与志矢氏
同社はSlackのスタンプを多用し、社員同士のコミュニケーションにも内輪の人間にしか分からないスタンプでコロナ禍のコミュニケーションを楽しんでいる。仁司氏は、以下のようにSlackの有用性を強調した。「楽しさは共感という意味で重要。コロナ禍でもつらい時期を乗り切るためのツールを導入できた」
コープさっぽろ入社以前の約6年前からリモートワークを実施していたというコープさっぽろ デジタル推進本部 システム部 リーダー 中山亜子氏は以下のように語った。
「2020年1月からDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の文脈でSlackやGoogle Workspace(旧G Suite)の導入を進めていたため、コロナ禍でもスムーズに(リモートワーク環境へ)移行できた。それまで他拠点への連絡はメールだったが、Slackに代替することで連絡は瞬時。周知も早く、各拠点の店長などにも利便性が浸透していった」
とはいえ、全員がIT活用能力を持ち合わせているわけではないため、Slack勉強会などを定期的に開催し、社内啓発活動を実施してきたという。
ソフトバンクは、在宅勤務と合わせてフレックスタイムやサテライトオフィスを用意し、多様な働き方を実施してきたと説明。同社コンシューマ事業統括 コンシューマ営業統括 営業戦略本部 AI/RPA 推進室 飯塚和詩氏は、以下のようにこの2年を振り返った。
「コロナ禍で半数以上の社員が在宅勤務を選択するようになった。私自身はリモートワークを推進する立場にはないものの、コロナ禍以前からリモートで働きたかったという(個人的な)思いと、Slackなどの活用でリモートワークの利便性が向上したと感じていた」
モデレーターがリモートワーク下にある社員同士の共感力について尋ねると、飯塚氏はこう答えた。
「(オフィス内であった)雑談が聞こえてこなくなったという意見をよく耳にする。社内でも一部の組織は意図的にSlackを雑談ツールとして活用する取り組みも行っているが、今は『毎日1投稿』を組織全体が意識することで、組織内コミュニケーションの改善に取り組んでいる」
飯塚氏はテキストメッセージを習慣的に用いることで、社員一人ひとりの文章能力を底上げし、雑談を通じてリモートワークにおけるストレス解消につなげる意図も含んでいると説明した。