会議の見直しも必要
次のテーマ「The future of work is flexible(仕事の未来は柔軟性)」に話が移ると、インテージヘルスケアの仁司氏は状況にあわせて臨機応変に対応する重要性を強調した。
「派遣社員を含めて約700人の従業員を抱えている。オフィスをウロウロと徘徊(はいかい)していると、意見を持った社員は顔を上げて意見やアイデアを提案していた。当然ながらコロナ禍以降はオフィスを徘徊できず、今はSlackのチャンネルをすべて徘徊している。たとえば自宅勤務時の印刷費用。『自腹なのか経費なのか』と皆混乱していることに気付き、経営企画部に連絡して新しいルールを設けるなど、気になる課題を解決してきた」
コープさっぽろ デジタル推進本部 システム部 リーダー 中山亜子氏
前述の通り、SlackとGoogle Meetで拠点間で連絡しているコープさっぽろは、「階層構造にあった情報が(Slackで)フラットになるため、周りから非常に喜ばれている。また、われわれは『置き配』を提供する際は1時間程度、口頭で説明していたが、接触率上昇を避けるために申し込み動画を用意。コロナ禍による宅配需要も相まって、1ドライバーあたり60件程度だった宅配数も現在は80件以上回れるようになり、効率向上にもつながった」(中山氏)と現場におけるデジタルツール活用の利点を解説した。
自宅勤務など働き方の変化について、ソフトバンクの飯塚氏は「社員一人ひとり使える時間が増えたのが大きな効果」だと語る。たとえばプログラミングに関心を持つ社員であれば、朝の通勤時間分を自己学習時間に割り当てることが可能だが、「マネージャーの声に耳を傾けると、コロナ禍以前よりもオンライン会議が増えたという悲鳴のような声も聞く。会議そのものの見直しも必要だ」(飯塚氏)と提唱した。
他方でコロナ禍で対面営業ができず、取引先との関係が希薄になる経験をお持ちの方は本誌読者の中にもおられるだろう。ソフトバンクの飯塚氏は「たとえば営業部門は、大きな成果を成し得た担当者の成功事例を会議で横展開することは今までもあったが、その情報共有をSlackのチャンネルで個々のタイミングで共有している」と、会議自体をSlackのチャンネルに置き換える手法を提案した。
作った絵文字を投票で表彰
最後のテーマである「The future of work is connected(仕事の未来はつながっている)」について感想を求められたインテージヘルスケアの仁司氏は、オープン性が重要だと語った。
「互いが心理的安全性を担保しているかが重要。コロナ禍でも既存の関係性があれば簡単だが、たとえばコロナ後に入社した新入社員と関係性構築は難しい。そこでわれわれは『毎日持ち回りで5分でも10分でも先輩社員と雑談をする』部署を用意した。これだけでも部署の空気感を味わい、個々の従業員理解につながる」
仁司氏はまた「雑談は半径数メートルしか成立しないが、Slack上の雑談は全社員に投げかけることが可能だ」とSlackの有用性にも言及した。