公益財団法人の日本生産性本部(千代田区)は3月30日、企業が自社の労働生産性の概要を把握できるツール「企業レベル生産性データベース(JPC Productivity Indicator for Corporation - Database:JPIC-DB)」を公開した。労働生産性の現状と課題を把握することで生産性向上に向けた取り組みの促進に寄与することを目指したという。
同法人では、生産性向上のための詳細な現状分析や課題の明示などのコンサルティングや人材育成などの支援を提供する。データベースは、東京商工リサーチ(TSR)が提供する「TSRデータベース」の企業財務データ(2015~2019年度の建設業を除く約10万社を収録)をもとに一橋大学大学院 宮川大介研究室と学習院大学滝澤美穂美帆研究室と共同で構築した。
“労働生産性”は、従業員1人あたりの付加価値額であり、「付加価値額÷従業員数」で示される。労働の効率性を測るものであり、労働生産性が高いほど、投入された労働力が効率的に利用されていることを表す。
JPIC-DBに財務データを入力すると労働生産性と関連指標を自動計測して、業界内での位置付けなどの簡易分析結果を明示するという。2015~2019年度の産業別、業種別の労働生産性や労働装備率、付加価値率、資本生産性などの関連指標もダウンロードできる。
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日本生産性本部は、JPIC-DBで産業別、業種別に労働生産性を分析した。全産業の企業レベル労働生産性は、2019年度の平均値が1人あたり年間813万円。平均値を上回る労働生産性水準の企業の割合は35%となっている。
上位4分の1に位置する企業の労働生産性は951万円で平均を17%上回る水準。一方、下位4分の1に位置する企業の労働生産性は452万円で、平均の半分強(56%)にとどまっている。