「解を探すのではなく、作り出せる人財に」
(日本IBM 代表取締役社長の山口明夫氏)

日本IBM 代表取締役社長の山口明夫氏
日本IBMの山口氏が入社式で語ったこの言葉を「明言」として取り上げたのは、これからのDX時代に、非常に重要な考え方になると思ったからだ。その意味も含めて、同氏の入社式での祝辞から、次の3つのメッセージを紹介しておきたい。
1つ目は、「学び続ける努力」である。
「変化に対応するには、常に学び続けることが必要で、IBMには創業以来『教育に飽和点はない』という理念が根付いています。学んだことを仕事に生かし、お客さまや仲間の役に立つことができ、その喜びを感じることで、さらに学ぶ。このサイクルを大切にしてください。IT業界は常に新しいテクノロジーや手法が創出されます。皆さんはこれから最新技術や世界中の事例など、IBMが蓄積してきた膨大な情報にアクセスし、学ぶことができます。頑張り次第では、ある領域の第一人者になることもできますので、ぜひチャレンジしてほしいと思います」
2つ目は、「信頼されるプロフェッショナルに」である。
「IBMは世界中のお客さまと共にDXを推進するとともに、重要なシステムや社会インフラを支えています。そのため、私たちは卓越した技術や深い専門知識、幅広い経験を基に、自分はなぜそう判断したのかをプロフェッショナルとして、自分の言葉で説明できる力が求められます。また、スキルを磨くだけでなく、さまざまな場面でお客さまと共に行動し、リードしていける、最も信頼される存在になることを目指していきましょう」
3つ目は、冒頭で紹介した「解を探すのではなく、作り出せる人財に」である。
「変化の激しい不確実な時代では、正解のない世界を創造していくことになりますが、逆に言えば、未来の可能性は無限に広がっています。ネットに書かれたことを探すのではなく、何が問題なのかを自ら問いかけ、仲間とともに考え抜き、解を見つけながら前に進む力をつけてください。皆さんのフレッシュで斬新なアイデアで、IBMだけでなく、お客さまや社会を新たなステージに導いてくれることを期待しています」
この3つ目の核心は、「自らの頭で考え抜け」ということだろう。長年、システムエンジニア(SE)として顧客の問題解決に向けて考え抜いてきた山口氏らしいメッセージだと感じた。
最後に、今回のお三方の入社式でのメッセージで、お三方とも強調していたキーワードがある。それは「プロフェッショナル」だ。すなわち、「プロフェッショナルであれ」と。新人だけでなく、ベテラン、中堅、若手、もちろん筆者も改めて、自らがそうであるかを厳しく見つめ直し、引き締めていきたい。