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Kubernetes環境にエンタープライズレベルのデータ管理をもたらす--ネットアップ

渡邉利和

2021-04-02 12:17

 ネットアップは3月30日、同社のKubernetes戦略に関するオンライン説明会を開催した。併せて、4月1日に国内での提供を開始した新製品の概要も説明した。

 同社 常務執行役員CTO(最高技術責任者)の近藤正孝氏はまず、コンテナー/Kubernetes環境のメリットとして「ハイパーバイザー型の仮想化よりも軽量で高速に起動可能」「アプリケーションの可搬性を担保可能」などのポイントを挙げた。その一方で、「ステートフルなアプリケーションに対する成熟度はまだまだ低い」「アプリケーションデータの保護やコンテナーアプリケーションのバックアップは複雑」「データ保護や災害復旧のための標準的な仕組みがない」などの課題を指摘。

ネットアップ 常務執行役員CTO 近藤正孝氏
ネットアップ 常務執行役員CTO 近藤正孝氏

 これらの課題を解決し、「Kubernetesを用いたアプリケーションの開発・運用にエンタープライズレベルのデータ管理・監視、インフラ選択肢を提供する」ことが同社の戦略だとした。

 同社はストレージベンダーとしては早い時期にクラウドへの対応を開始し、クラウド/オンプレミスといったプラットフォームを問わず、ストレージOS「ONTAP」の機能をベースとしたデータ管理機能をサービスとして利用できる体制を整えてきた。同社のKubernetesへの取り組みは2019年秋に米国ラスベガスで開催されたプライベートイベント「NetApp Insight 2019」で大々的に打ち出されたものだ。

 それから1年以上が経過して具体的なポートフォリオが整備された形であり、同社の取り組みが「Kubernetes上で稼働するコンテナーアプリケーションに対して同社のデータ管理サービスを提供するための環境整備」を主眼にしたものであることが見えてきたように思われる。

NetAppのKubernetes戦略の概要
NetAppのKubernetes戦略の概要

 今回新製品として発表されたのは「NetApp Astra」「Spot Ocean for Azure」「Spot Wave by NetApp」の3つとなるが、さらに既存製品である「Trident」と「Cloud Insights」についても触れ、同社のKubernetes対応製品ポートフォリオの全体像が紹介された。

 説明順は前後するが、まず同社のKubernetes対応ポートフォリオのベースとなっているのが、オープンソースソフトウェアとして開発が継続されているTridentだ。コンテナー/Kubernetes環境でデータ永続化を行うソフトウェアであり、Kubernetesを含むコンテナーオーケストレーターに対するプラグインの形で実装され、NetAppのストレージ製品またはクラウド上のストレージサービス「NetApp Cloud Volumes」にコンテナーからデータを永続的に保存し、アクセスできるようにする。

Tridentの概要
Tridentの概要

 Tridentがコンテナー/Kubernetes環境とNetAppのデータ管理プラットフォームの間をつなぎ、その他の製品/サービスではコンテナー/KubernetesからNetAppのストレージサービスが利用可能になっていることを前提としてさらに高度な機能を追加していく形になる。

 新製品であるAstraは、端的に言えばコンテナー/Kubernetes環境に対応したバックアップソリューションであり、マネージドサービス型のSaaSとして提供される。同社では「Kubernetesアプリケーションと関連データの統合管理サービス」と表現する。なお、ここで言う関連データとは、「Kubernetesが保持するアプリケーションの構成管理データと、アプリケーション自身が読み書きするデータ、さらにアプリケーションのコードなど」を含むものだという。

 最近はコンテナー対応のバックアップソリューションが各社から提供されているが、同氏はAstraの特徴を「アプリケーションと関連データを『丸ごと』、シンプルにバックアップ/リストア/移動できる点」だとした。

 Astraはまず、Google Cloud Platform(GCP)のGoogle Kubernetes Engine(GKE)クラスター上のKubernetesアプリケーションをサポートするバージョンがリリースされる。今後Microsoft AzureやAmazon Web Services(AWS)で提供されるKubernetes環境に対応するバージョンやオンプレミス向けのバージョンも順次リリースされる計画だ。

Astraの概要
Astraの概要

 次に、クラウド利用時のコストを最適化するSpot by NetAppに新機能が幾つか加えられた。クラウド上で実行される各種ワークロードの特性やふるまいに基づいて、クラウド事業者が設定するさまざまな課金方式から最適なものを動的に選び出し自動でスケーリングしたり、コストを最適化したりするのが基本機能で、内部にはワークロードの特性別に「Eco」(モノリシックアプリケーション向け)、「Elastigroup」(サービス指向向け)、「Ocean」(クラウドネイティブ、コンテナー/Kubernetesアプリケーション向け)の3つサービスと、クラウドの支出を継続的に最適化する基本サービス「Cloud Analyzer」が含まれている。

Spot by NetAppの構成。携帯電話会社にあるような「最適な料金プランの選択支援ツール」のような発想だと考えると分かりやすいだろう。さまざまなワークロードに対応したサービスが準備されるうち、Oceanがコンテナー/Kubernetes環境をターゲットとしたもの
Spot by NetAppの構成。携帯電話会社にあるような「最適な料金プランの選択支援ツール」のような発想だと考えると分かりやすいだろう。さまざまなワークロードに対応したサービスが準備されるうち、Oceanがコンテナー/Kubernetes環境をターゲットとしたもの

 今回の新発表では、まずSpot Oceanに以前から提供されていたGCP/AWS向けに加えて、Azure向けの「Spot Ocean for Azure Kubernetes Services(AKS)」が加わり、大手クラウドサービス3社に対応することになった。また、新しいワークロード対応としてSpot Oceanをベースとした拡張機能といった位置付けになるSpot Waveが追加された。

 Spot Waveは、インメモリーの分散処理フレームワークであるApache Spark環境でビッグデータを処理・活用するアプリケーションを運用・管理する際に、プロビジョニング、導入、自動拡張、最適化のプロセスをKubernetes上で自動化するためのクラウドサービスになる。

Spot Waveの概要。コンテナー/Kubernetes環境上で実行されるSparkワークロードに特化したサービスとして提供される
Spot Waveの概要。コンテナー/Kubernetes環境上で実行されるSparkワークロードに特化したサービスとして提供される

 最後に、Cloud Insightsはクラウドとオンプレミスの両方の環境に対応し、フルスタックで監視/可視化が行えるSaaSだ。いわば、運用管理ダッシュボードだと考えていいだろう。コンテナー/Kubernetes環境への対応強化として、Kubernetesアプリケーションに対しても「クラスターの中でどこにどのレベルの問題があるか」「サービスパスの中でどこに問題があり、どのアプリケーションが影響を受けるか」といった詳細情報を可視化できるようになったという。

 NetAppをストレージベンダーと位置付けてしまうとKubernetes戦略の意味が分かりにくくなってしまうが、プラットフォーム非依存のデータ管理サービスを提供しているクラウドサービスの会社だと理解すれば、今回のKubernetes戦略の意味が明確になるだろう。ある意味シンプルで、アプリケーションがコンテナー化され、Kubernetesがプラットフォームとして重要性を増す中で、この環境から同社のデータ管理プラットフォームを活用できるようにし、さらにこのプラットフォームを土台として提供可能になるより高度な機能/サービスを実現していく、という形だ。

 Astraに関してはまだGCP環境のみが対象で、今後AWSやAzure、オンプレミス環境への対応が実現することでようやく本来の狙いであるマルチクラウド環境の一元的なサポートが実現することになるが、同社のデータ管理プラットフォームであるNetApp Cloud Volumesは既に主要クラウド環境で横断的に利用できるようになっていることからも、迅速なリリースが期待されるところだ。

同社のKubernetes対応ポートフォリオの全体像
同社のKubernetes対応ポートフォリオの全体像

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