バックアップソフトウェアベンダーのヴィーム・ソフトウェアは4月7日、「データプロテクションレポート2021」を発表した。米本社Veeam Softwareがグーロバル企業のIT施策責任者、28カ国約3000人を対象にデジタルトランスフォーメーション(DX)の阻害要因とデータ保護の重要性を聞いている。米本社が米国時間3月18日に発表した。
アプリケーションのダウンタイムによる影響としては「顧客からの信用喪失(55%)」「ブランドへのダメージ(51%)」「従業員からの信用喪失(38%)」が上位回答として並んだ(n=455)。
Veeam Software エンタープライズ戦略担当バイスプレジデント Dave Russell氏
米本社 エンタープライズ戦略担当バイスプレジデント Dave Russell(デイブ・ラッセル)氏は「注目すべきは3位。組織に対する信頼を失い、離職につながる可能性が高い」と警鐘を鳴らす。
その上でRussell氏は「日本企業(が保有する全データ)の平均15%がバックアップされていない。これは世界平均(14%)をわずかに上回り、日本企業の4分の1(26%)がBaaS(Backup as a Service)を採用。増加傾向は今後も続き、2023年には41%まで上昇する」と予見した。
企業間デジタルデバイドが拡大
調査項目の1つである、コロナ禍でDXの取り組みに対する影響度を聞くと、「大幅に加速(18%)」「若干の加速(35%)」「変化なし(18%)」「若干の遅延(19%)」「大幅に遅延(7%)」という回答を得た(n=700)。一説にコロナ禍は企業のDXを加速させたという意見がある一方で、混乱を来した中小企業は少なくない。
DX推進の阻害要因については「世界的流行のため、運用の維持に注力しすぎた(56%)」「従来のシステムや技術への依存(55%)」「IT担当者の技能または変革技術に関する専門知識の不足(55%)」が上位を占めた(n=453)。Russell氏は「われわれはDXを“ジャーニー、連続する取り組み”だと捉えている。各組織のゴールは分からないが、(DXを実現するには)データが不可欠であることは明確だ」と提言する。
国内企業固有の調査結果に目を向けると、レガシーシステムを運用するサーバーの17%は年1回に予定外の停止が発生し、データ量などからの理由でバックアップジョブのエラーが発生する割合は36%、復元時のエラーも29%となっている。
「両者を足し合わせると、大事なデータを復旧できる割合は5割(55%)にすぎない。コインの表裏を当てる割合とほぼ同等だ」(Russell氏)