製品やサービスなどを連携して業務を自動化、半自動化できるAPIですが、実際にどのようなもので、どう活用すればいいのでしょうか。
今回から複数回にわたり、クラウドストレージ「Dropbox」、ビジネス向け「Dropbox Business」のAPI「Dropbox API」「Dropbox Business API」と、そのメリットや利用シーンを紹介します。
APIそのものの使い方というよりは、Dropbox APIを利用するアプリケーションや開発事例をもとに、Dropboxのようなクラウドサービスの使い方がどのように拡張されていくのかを解説します。
第1回目となる今回は、そもそもAPIとは何か? Dropbox APIとは何か? そして何ができるかなどの概要を紹介します。
APIとは?
APIとは「Application Programming Interface」の頭文字です。他のプログラムからサービスやアプリケーションの一部を利用できるよう、仕様や利用条件を定めたものです。APIと一口に言ってもクラウドサービスなどが提供するAPI、WindowsやiOSなどのOSがアプリケーションに対して提供するAPI、ソフトウェアを構成するライブラリやフレームワークが利用するAPIなどさまざまです。
今回は特にこのうち、Dropboxなどのクラウドサービスが利用するAPIについて解説します。これらクラウドサービスで利用するAPIは特に、「Web API」と呼ぶ場合もあります。
OSやライブラリ、フレームワークで利用するAPIは、主にプログラム開発者が利用し、Dropboxのようなクラウドサービス利用者には縁遠いものでした。しかし、クラウドサービスのAPIはロボティックプロセスオートメーション(RPA)などを通じて、プログラム開発者でなくとも利用できるよう敷居が下がりました。たとえばDropboxとビジネスチャット「LINE WORKS」のように、複数サービスの連携が利便性の向上につながります。
APIを利用するメリット
日常的に実施する一連の作業が自動化できると、省力化だけでなく作業ミスが減ったり、サービス利用の自由度をあげたりできます。業務の自動化を例に考えてみましょう。
新入社員が入社するにはさまざまな手続きが必要です。人事システムに登録したり、新入社員用のメールアドレスを準備したり、Dropboxなどの業務で利用するアプリケーションやサービスへのアカウントを配布したり、必要な情報へのアクセス権限を付与したり…など、さまざまな手続きが必要になります。
これらの業務を人事システムに登録した情報をもとにメールアドレスやDropboxなどのアカウントを配布したり、必要なアクセス権限を付与したりするまでを自動化できればどうでしょうか。従来はメールシステム管理者の作業完了後にDropbox管理者の作業を進めるというように、連絡の時間や手間がかかっていましたが、このような時間がなくなります。また、どちらかの管理者が不在でも対応できます。
このように、人事システムのAPI、メールシステムのAPI、DropboxのAPIといったそれぞれのシステムが提供しているAPIを組み合わせていくことで業務を自動化でき、時間の短縮やコスト削減につなげることができます。