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アクセンチュアとSAP、福島・会津で中小製造業向けのデジタルICT共通基盤を構築

國谷武史 (編集部)

2021-04-12 06:00

 会津産業ネットワークフォーラム(ANF)とアクセンチュア、SAPジャパンは4月9日、福島県会津若松市で中小製造業の生産性向上を目的としたデジタル・ICT共通プラットフォーム「コネクテッド マニファクチャリング エンタープライゼス(CMEs)」を構築したと発表した。1日に本格稼働を開始し、地方創生での貢献を目指すという。

 CMEsは、中小製造の企業が独自に構築したり利用したりしている業務システムを共通化したクラウドサービスとなる。SAP S/4 HANAをベースとしており、これにアクセンチュアが開発している業界別テンプレートを中小向けに変更を加えているが、できる限りカスタマイズを行わずパッケージに近い形で実装している。

「コネクテッド マニファクチャリング エンタープライゼス(CMEs)」のイメージ(アクセンチュア説明資料より)
「コネクテッド マニファクチャリング エンタープライゼス(CMEs)」のイメージ(アクセンチュア説明資料より)

 企業ユーザーにはサブスクリプションモデルで提供され、システムの構築や導入でのコストを最小化することにより、最適な利用コストによるITの活用を支援するという。まず企業ユーザー間で共通して利用する機能を非競争領域として位置づけ、共同利用することでコスト削減を図る。第2段階ではデータの分析や活用、第3段階ではデジタル技術の活用による「スマート工場」化、最終的には共同調達や配送といったより広範な効率化を実現したいとする。

 会津若松市では2011年の東日本大震災以降、復興や地方創生に向けてITの活用を通じた産業振興や人材育成、地域社会の活性化などのさまざまな取り組みが産学官連携で営まれており、アクセンチュアやSAPジャパンなど多くのIT企業も同市に進出している。

アクセンチュア イノベーションセンター福島 共同統括の中村彰二朗氏
アクセンチュア イノベーションセンター福島 共同統括の中村彰二朗氏

 各機関によれば、これら活動を通じて諸課題に表面化しており、その1つに地方の中小企業における生産性の向上がある。この日の記者会見でアクセンチュア イノベーションセンター福島 共同統括の中村彰二朗氏は、ITを活用するスマートシティーやスーパーシティーの実現に向けた構想や具現化のための各種プロジェクトが先行する一方で、地域を支える中小企業や産業でのIT活用が十分に進んでいない実態があると説明した。

 都市部の企業や大企業に比べて資金や人材などの経営資源に制約がある地方の中小企業にとって、都市部の企業や大企業のようなITシステムを構築したり運用したりするのは難しい。しかし、地方の中小企業が競争力や生産性を向上させなければ地域経済の社会の活性化は難しい。このことは日本全体の生産性や競争力にもつながり、主要国に比べて生産性が低いとされる日本の課題でもあるとしている。

中小製造におけるIT活用の課題(アクセンチュア説明資料より)
中小製造におけるIT活用の課題(アクセンチュア説明資料より)

 中村氏は、地方創生にはデジタル化が必要であり、地方の企業と産業がデジタル化によって生産性を高めることが経済などの活性化をもたらし、それによって本当の意味での地域創生や社会の幸福が実現されていくと述べた。今回のCMEsの取り組みは、そうした地方創世を実現していくためのファーストステップになるとの意義を強調している。

 CMEsの構築に際しては、日本と同様に中小製造を中心とした産業構造を持つドイツの「インダストリー 4.0」を参考にしている。企業単独では困難なIT活用領域のうち差別化につながない領域での機能を共同利用型の仕組みとして提供することで、中小企業でも大企業のようなIT活用を可能にする。アクセンチュア 代表取締役社長の江川昌史氏は、地域企業の生産性向上につながるテクノロジー活用の推進をこの領域でノウハウを持つSAPや会津若松市と共同で取り組む意義を説明し、SAPジャパン 代表取締役会長の内田士郎氏は、「SAPイノベーションフィールド福島」でのプログラミング教育を始めとする人材育成のノウハウでも貢献していきたいとの抱負を語った。

 CMEsでは、まずANFの会員企業などの利用が検討されており、マツモトプレシジョンが1日に利用を開始した。代表取締役社長の松本敏忠氏は、まだ使い始めたばかりと前置きししつつ、CMEsを通じたIT活用への期待を表明した。なお、アクセンチュアの中村氏によれば、CMEsに利用により例えば、在庫管理業務の効率化やそのための人件費の削減効果によって生産性の25%向上が可能だという。

生産性向上効果の試算(アクセンチュア説明資料より)
生産性向上効果の試算(アクセンチュア説明資料より)

 今回の取り組みは、2月に山形県で実施したセミナーでも紹介し参加者から高い関心を得たという。中村氏は、会津若松市でのCMEsの成果を全国に展開したいとし、各地では地場のITパートナーと地域密着で推進していくと説明。会津若松市ではエフコムがパートナーとなり、代表取締役社長の瓜生利典氏は、地方の企業にとってIT活用はまだ敷居が高いとしつつ、「共同で利用する仕組みはとても興味深く、地元企業と連携して取り組んでいく」と述べた。

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