テレワークの仕組みを活用した在宅勤務が定着しつつあるが、「社員間のコミュニケーションは?」「テレワーク時代のオフィスは?」「快適なテレワーク環境はどうしたら良いか?」などさまざまな疑問があるのではないだろうか。
そうした疑問に回答する試みとして、コクヨは4月13~14日に開催したオンラインカンファレンス「働くのミライ会議」の中で「コクヨも実験中! テレワークのお悩みQ&A」と題して講演。視聴者の質問に回答する形式で進められた。
場+制度、ツール、企業風土の3つが重要
コクヨは「アクティビティベースドワーキング(Activity Based Working:ABW)」という働き方を目標に掲げている。ABWについて、コクヨ ファニチャー事業本部 マーケティング本部 販売マーケティング部 小川剛氏は、気分に応じて場所を自ら選択するテレワークに「時間を追加したのがABW。自分の時間を確保するために早朝から仕事を開始し、夕方の明るいうちに終業するようスケジュールをコントロール」する働き方だと説明する。
コクヨ ファニチャー事業本部 マーケティング本部 販売マーケティング部 小川剛氏
たとえば営業部門の方なら午前7時台に朝食やメールチェックを済まし、8時台は訪問先の最寄り駅まで移動。到着後はシェアオフィスで電話対応や資料作成に従事し、顧客との約束時間になったら客先を訪問して商談を開始する。午後は喫茶店などで客先に同行したチームメンバーと意見交換し、午後4時台にはオフィスに帰社。上司や同僚への報告や日報などの事務処理を行う。
「当然ながら情報システム部門など他の業種も、仕事の内容に応じて場所や時間を選択すればよい。また、子育てや副業など日常生活と掛け合わせ、自分にとって最適な働き方であるか選択する」(小川氏)
その上で小川氏は「どのような働き方にシフトするにせよ、『場+制度』『ツール』『企業風土』の3つが重要。たとえばテレワーク制度があっても上司が『毎日会社に来い』と言えばテレワークは推進しない。上司がOKを出してもノートPCが貸与されなければ楽に移行できない」と質問の叩き台を用意した。
最初の質問であるテレワークのデメリットについて、コクヨの総務部門であるヒューマン&カルチャー本部 総務部 権平頼昭氏は「総務部門への問い合わせで増えているのが、自宅では宅配便や郵便物を受け取れないという意見」と解説した。
コクヨの人事部門であるヒューマン&カルチャー本部 HR部 赤木由紀氏は、コロナ禍にあわせて新規導入した施策についてこう説明した。
「全社員に対するテレワーク。これまでのテレワークは介護などライフイベントを持つ方に制限していたが、緊急事態宣言に伴って最初に整えた。また、(コロナ禍で)自宅勤務が当たり前となり、従来は半期ごとに定期券代を精算していた交通費の精算を即時に変更している」
コロナ禍以前から実施していた、外付けのディスプレイやマイクの購入代を補助する制度の活用も増加しているという。