チームや共同作業に課題--テレワークの悩みへの解決を探るコクヨの試行錯誤 - (page 2)

阿久津良和

2021-04-19 06:45

 テレワーク環境における防災対応について権平氏は「企業として自宅の防災備品を整えるのは難しい。当然オフィス内の防災対策として、全社員が出社しても対応できる状態を維持しつつ、社員への啓蒙活動に努めている」と回答した。

 どの企業でもテレワークで労働時間が増加傾向にあるものの、労務管理の観点から質問がおよぶと、赤木氏は以下のような仕組みで対応していると説明した。

 「ここ2年程度で残業時間は減少している。労務管理という側面で述べると、上司が部下の労働時間を把握できる勤怠体制を整えてきた。社員に対してもPCやスマートフォン経由で勤怠時間を打刻してもらっている。(労働基準法36条に基づく労使協定である)36協定にも対応しなければならない。週40時間を超えないように月の半ばで上司にアラートメールを送信し、働き方の見直してもらう」

コクヨ ヒューマン&カルチャー本部 HR部 赤木由紀氏
コクヨ ヒューマン&カルチャー本部 HR部 赤木由紀氏

 テレワークに否定的な上層部の思考改善策という質問について赤木氏は「経営層にも生産性の低下を危惧し、慎重に対応すべきだと捉えている方もいた。だが、弊社社長(代表取締役社長 黒田章裕氏)が『今後、企業が成長するためには(テレワークなどへの)挑戦が必要』という考えで、当初は予約制だったテレワーク制度を今の状態で運用している」と経緯を説明した。

 コクヨがテレワーク制度導入に至るまでには多くの実証実験を重ねており、赤木氏は「700人を超える方々の協力を得てたどり着いた。(制度導入で)どのような課題が発生するのか経営層と議論を重ねている」と試行を重ねる重要性を強調した。

 在宅勤務時の孤独感を解消するための雑談が重要となっているが、権平氏は「(テレワークで)チャットの機会が増え、中には雑談に寄りすぎているチャットも見受けられるので、一定時間(メッセージ着信を知らせる)通知を消してみるか、時間を決めて雑談するなど自身の判断が必要。ただ、気軽に会話や相談ができる環境も必要だ」とバランスの重要性を指摘した。

 イベント開催時の東京都は「まん延防止等重点措置」適用下にあるが、顧客や社員同士のコミュニケーションを作り出すイベント開催についても「現在は感染対策を取った上で安全に開催できることを条件に、開催内容を事務局で確認することで開催を許可している」(権平氏)

 在宅勤務時の設備費負担についてコクヨは前述した福利厚生制度を活用しつつも、「エアコンや無線LANルーターなどにかかる費用は、多くの企業が在宅勤務手当という形で対応していると聞く。弊社も現在検討中」(赤木氏)だという。

 在宅勤務は設備不足を課題に挙げる声も少なくないが、権平氏はコクヨならではの対応策を語った

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