コロナ禍によるテレワーク/リモートワークを経験してから日本企業ではオフィスの意義を再検討する動きが見られる。センターオフィス(本社)で働きながら、サテライトオフィスでも働くといった形態もみられるようになっている。中には、全員が在宅で勤務することでオフィスを引き払うケースも存在する。テレワーク/リモートワークも含めて働き方が多様になっている状況でセンターオフィスの役割、存在意義はどうあるべきなのか。
コクヨは4月13~14日、オンラインカンファレンス「働くのミライ会議」を開催。兵庫県淡路島に本社機能を移転するパソナグループ(連結従業員数1万9588人)、横浜に移転するクックパッド(単体従業員数415人)、オフィス家具を提供するコクヨ(単体従業員数2241人)の3社が登壇して「これからのオフィスの役割。センターオフィスはどうあるべきか?」と題して議論した。
偶然のコミュニケーションを図るような仕掛け
コクヨは東京品川オフィスと東京ショールームの自社ビルをリニューアルし、2月15日にオープンした「THE CAMPUS(ザ・キャンパス)」を“働き方の実験場”と定義付けている。公式ECサイト「KOKUYO Workstyle Shop」で取り扱う商品を体験できる場としてだけではなく、「装う」「はかどる」「集う」など意味を持たせた各階で社員同士のコミュニケーションを活性化させるなど、多様な目的を持たせているという。
コクヨ 代表取締役 副社長 坂上浩三氏は「働く人に応じて多様な選択肢を用意するのが重要。また、偶然のコミュニケーションを図るような仕掛けが、これからのオフィスには大事な要素だ」とTHE CAMPUSの背景を説明した。
クックパッド 執行役 JapanCEO 福崎康平氏
クックパッドは5月上旬に東京都恵比寿の本社を横浜みなとみらいに移転する。同社執行役で日本市場の事業を統括するJapanCEO 福崎康平氏は移転の背景を以下のように解説した。
「オフィスは働くだけではない。(恵比寿本社の)共用部に大きなキッチンを用意して、平日のお昼や週末に社員が集まって料理し、生産者の方々や作り手の方々を呼んでワークショップを開催してきた。われわれが目指すのは『ただ働くだけ』ではなく、街や作り手と料理を楽しむこと。皆さんが横浜から連想するのは、みなとみらいや馬車道(ばしゃみち)といった多様性。このような街から新たな食の楽しみを見いだしていきたい」
2020年9月に本社機能を兵庫県淡路島へ段階的に移転することを表明したパソナグループは、2008年から淡路島の農業人材育成に着手。年を追うごとに事業規模を拡大し、劇場を含めたレストランやホテル運営を展開してきた。