三井住友FGと楽天コミュニケーションズ--ウィズコロナ時代の働き方の実際 - (page 2)

阿久津良和

2021-04-20 06:45

SMFG「もう元には戻れない」

 SMFG グループ事業開発部 上席部長代理 古川剛也氏は「他社ほど大胆にできていないが、コロナ禍以前から時間や場所にとらわれない働き方に取り組んできた。コロナ禍で生じた変化は2つ。従来は少しずつ働き方を変化させる心算だったが、コロナ禍で緊急対応せざるを得なかった。もう1つは『もう元には戻れない』。この2つが顕在化したと認識している」という。

 近年の金融業はフィンテックの波など構造改革が求められている業種だが、古川氏は「新規事業に携わる部署から見れば、業種にとらわれない新しい領域に生み出すチャンス」だと認識している。その1つがスタートアップ支援・オープンイノベーション拠点となる「hoops link tokyo」の存在だ。

 数年前から“大企業×スタートアップ”という流れが生じていることは改めて述べるまでもないが、2017年9月にhoops link tokyo、2020年8月には「hoops link kobe」を開設。これらの空間を通じて、弁護士ドットコムの「クラウドサイン」と連携した「SMBCクラウドサイン」の設立・サービス提供に至った。

 ただし、多様な人間関係を構築できたのはコロナ禍以前の話である。今後について古川氏は「いわゆる『密な付き合い方』を自問自答している。答えにたどり着いていないが、われわれが重視してきた『ダイレクト』『カジュアル』『レバレッジ』を念頭に人と人のつながりや“場”を大切にしたい」とコロナ禍で変化したコミュニケーションを模索する気持ちを吐露した。

3社の感染対策

 具体的な感染対策についても意見が交わされた。

 「各hoops linkは現在閉じている状態。緊急事態宣言中は5割程度まで(出社率を)落ちたが、現在は8~9割まで戻っている。ただ、1人あたりの空間はできる限り広く取り、他者と交わらないような対策は講じた」(古川氏)

 「オフィスは1席ずつ前後に空け、パーティションを立てるような原始的な対応を行っている。それ以外にもPCR検査を企業として行う準備中。感染状況を素早くキャッチして(被害を)最小限にとどめる(ことに注力している)」(野田氏)

 コクヨの矢田氏は「『THE CAMPUS(ザ・キャンパス)』では、新型コロナウイルスの感染経路といわれている『接触感染』『飛沫感染』『エアロゾル感染』の3点に対策を講じている。われわれがオフィス内で換気量や二酸化炭素濃度などを計測する実証実験を行ったところ、感染リスクが高い場所がほぼ特定できたので、今後は顧客にもサービスとして展開できればと考えている」と取り組みを説明。すでに同社は飛沫吸引デスク「エアトリーブ」を2020年10月から提供を開始している。

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